2018年7月17日火曜日

相続法を見直す民法改正のポイント

相続法制を約40年ぶりに大幅に見直す



民法等の改正が成立しました



(一部を除き、原則1年以内に施行)。



改正法は、配偶者保護の方策をはじめ多岐にわたりますが、



主な項目は以下のとおりです。




◆改正の主なポイント




◎配偶者短期居住権の創設……



配偶者が相続開始時に被相続人の建物に住んでいた場合、



遺産分割が終了するまでの間(最低でも6ヵ月間)は



建物を無償で使用できるようになります。




◎配偶者居住権の創設……



配偶者が相続開始時に居住していた



被相続人の建物を対象に、



終身又は一定期間、



配偶者が建物を使用できる権利を新設し、



遺産分割や被相続人の遺言等によって取得できるようになります。




◎夫婦間で居住用不動産を贈与等した場合の取扱い……



婚姻期間20年以上の夫婦間で



居住用不動産を贈与等した場合、


遺産分割において原則、遺産の先渡し(特別受益)



として取り扱う必要がなくなります(持戻し計算が不要)。




◎預貯金債権の仮払い制度の創設……



相続した預貯金債権について、



生活費や葬儀費用の支払、



相続債務の弁済などに対応できるよう、



遺産分割前に払戻しが受けられるようになります。




◎特別寄与制度の創設……



相続人以外の親族が被相続人の療養看護等を行った場合、



相続人に対して金銭の支払を請求できるようになります。




◎自筆証書遺言に関する見直し……



*自筆証書遺言を作成する場合、



財産目録は自書でなくパソコン等で作成することが可能、



*法務局において



自筆証書遺言に係る遺言書を保管できる制度が創設されます。




2018年7月9日月曜日

会社が被災した場合の税務上の取扱い


西日本を中心とした広い範囲で記録的な豪雨となり、



各地で甚大な被害が出ています。



これにより被災した中小企業対策として、



日本公庫等のによる災害復旧貸付や



信用保証協会によるセーフティネット保証4号



などが実施されます。




◆資産が損害を受けた場合などの主な取扱い




◎会社の資産が損害を受けた場合……



災害により商品や店舗などが滅失・損壊した場合の



損失額や、損壊した資産の取壊し、



土砂などを除去するための費用は、損金になります。



また、損傷を受けた店舗や機械などの固定資産について、



原状回復のために補修などを行った場合も



修繕費として損金になります。




◎簡易課税制度の適用(不適用)に関する特例……



事業者が被災したことにより、



消費税の簡易課税制度の適用が必要になった場合、



又は適用が不要となった場合には、



税務署長の承認を受けることで、



その課税期間等について適用を受ける、



又はやめることができます。



例えば、業務用の資産に相当な損害を受けて、



緊急に設備投資を行うため、



簡易課税から一般課税へ変更する場合などに適用できます。




◎災害損失欠損金額の取扱い……



災害のあった事業年度において



災害損失欠損金額がある場合には、



その事業年度開始から



2年以内に開始した事業年度の法人税額のうち、



災害損失欠損金額に対応する金額を還付請求できます。




◎被災した取引先等に対する災害見舞金等……



災害見舞金や事業用資産の供与等を行なった場合、



交際費等にはならず全額損金になります。



また、



取引先の復旧支援を目的に



売掛金や貸付金等の債権を免除した場合は、



免除による損失を損金に算入できます。





2018年7月2日月曜日

30年分の路線価等は本日公表


本日、30年分の路線価(及び評価倍率)が公表されます。




◆相続等における土地評価額の算定基準




 路線価等は、



相続税や贈与税において



土地の評価額を算定する際の基準となる価格で、



その年の1月1日時点での評価額として公表されます。




 相続等で取得した土地の評価方法には、



路線価方式と倍率方式があり、



路線価方式は路線価



(道路に面した標準的な宅地の1㎡あたりの価額)



を土地の形状等に応じた各種補正率で



補正した後の面積に乗じて計算します。



一方、倍率方式は、



路線価が定められていない土地の評価方法となり、



固定資産税評価額に一定の倍率を乗じて計算します。




 27年以降、



相続税の基礎控除額は



「3千万円+600万円×法定相続人数」に



引下げられましたが、



土地は相続財産で大きな割合を占めますので、



路線価等を確認し、評価額を把握しておくことも大切です。




◆「小規模宅地等の特例」の適用がポイント




 相続財産に被相続人(亡くなった方)の



居住または事業用に使われていた宅地等がある場合には、



一定要件のもと評価額を大幅に減額できる



「小規模宅地等の特例」の適用が



大きなポイントになります。




 同特例により、



居住用宅地等の場合は



330㎡まで評価額を80%減額できますが、



適用できるのは原則、



被相続人の配偶者や、



被相続人と同居していた親族が取得した場合となります。



 ただし、



配偶者や同居親族がいない場合には、



自己所有の家屋に居住していない一定の別居親族



(いわゆる「家なき子」)も適用できます



(30年4月以降、適用要件が厳格化されています)。





2018年6月26日火曜日

来月から拡充される消費税免税店制度


◆免税店の店舗数は全国で約4万5千店




 観光庁によると、昨年の訪日外国人旅行者数は  



2869万人(前年比19.3%増)と6年連続で増加し、



その旅行消費額4兆4162億円のうち、



買物代は1兆6398億円



(1人あたり約5万7千円)となっています。




 このような状況から、



外国人旅行者等の非居住者に対して



通常生活の用に供される物品



(一般物品、消耗品)を一定の方法で販売する場合に



消費税を免除して販売できる免税店



(輸出物品販売場)の店舗数も年々増加しており、



今年4月1日時点で4万  4646店



(前年比10.2%増)となりました。




 また、ここ数年の税制改正により



制度拡充が実施されており、



免税販売の対象となる一般物品



(家電、衣料品等)と消耗品



(飲食料品、化粧品等)の購入下限額は現行、



それぞれ5千円以上とされています。




◆7月以後の免税販売から適用される改正




 30年度税制改正においても見直しが行われ、



一般物品と消耗品のそれぞれの販売価額が



5千円未満である場合でも、



一般物品を消耗品と同様の指定された方法により



包装することで、



消耗品として取り扱われることになり、



これらの合計額が5千円以上であれば



免税販売することができます。




 例えば、一般物品4千円、消耗品6千円の場合、



一般物品は5千円以上ではないため



通常は免税販売の対象になりませんが、



消耗品と同様の包装をすることで、



合計1万円の消耗品として



免税販売ができるようになります。




 この改正は、



7月1日以後に行う免税販売について適用されます。







2018年6月18日月曜日

民泊事業で生じた所得の課税関係は


今月15日に住宅宿泊事業法(民泊新法)が施行され、



自治体に届出を行うことで



一定基準を満たす住宅での宿泊サービスの提供が可能になりました。




◆民泊事業による所得は原則「雑所得」




 自己が保有する居住用住宅を利用して、



同法に規定する住宅宿泊事業



(いわゆる「民泊」)を行って得た所得は、



所得税の課税対象となります。




 所得税法上、



不動産の貸付けによる所得は原則として



不動産所得に区分されますが、



民泊事業による所得は原則、「雑所得」に該当します。



例えば、



年末調整を行う給与所得者が民泊事業により



20万円超の所得を得た場合は、確定申告が必要です。




 なお、不動産賃貸業を営んでいる方が、



賃貸契約の満了等により空室となった不動産を利用して



一時的に民泊事業を行った場合の所得は、



不動産所得に含めることができます。



また、専ら民泊事業で生計を立てているなど、



事業として行われていることが明らかな場合は、



事業所得に該当します。




◆宿泊料は消費税の課税対象




 住宅の貸付けは、消費税が非課税となっていますが、



貸付期間が1ヵ月未満の場合や、



旅館業に係る施設の貸付けに該当する場合には、



課税対象とされています。



そのため、



同法に規定する民泊事業において



宿泊者から受領する宿泊料については、



消費税の課税対象となります。 




 なお、個人事業者が消費税の課税事業者



(納税義務者)となるのは、



「基準期間(前々年)の課税売上高」及び



「特定期間(前年の1月~6月)の課税売上高等」が



1千万円を超えた場合が該当するため、



1千万円以下であれば免税事業者となります。







2018年6月12日火曜日

算定基礎届に関する注意点等は


算定基礎届は、



社会保険における標準報酬月額を決定するための手続きとなり、



原則1年間(9月~翌年8月まで)適用されます。



30年度の提出期間は、7月2日~10日までとなります。




◆主なポイント




◎対象者……



7月1日現在の全ての被保険者です。



ただし、



*6月1日以降に資格取得した方、



*6月30日以前に退職した方、



*7月改定の月額変更届を提出する方、



は対象外となります。




◎標準報酬月額の対象となる報酬……



報酬には、給与や通勤手当、残業手当など



被保険者が労働の対償として受ける全てのものを含みます。



また、通勤定期券や食事など現物で支給されるものも



報酬に含まれます。



ただし、年3回以下の賞与や臨時に受けるもの



(見舞金等)は含まれません。




◎標準報酬月額の算定方法……



原則4~6月の3ヵ月間に支払われた報酬の



平均額により算定しますが、



支払基礎日数が17日未満の月は除きます



(短時間就労者は取扱いが異なる)。



例えば、



4月が17日未満であれば5月と6月の2ヵ月で算定します



(3ヵ月とも17日未満の場合、従前の標準報酬月額)。




◎保険者算定……



通常の算定方法によって



報酬月額を算定することが困難な場合や



著しく不当である場合は、



保険者が報酬月額を算定し標準報酬月額を決定します。



例えば、



業務の特性上、



例年4月~6月が繁忙期に当たるため、



残業手当等により他の期間と比べて多く支給されている場合、


前年7月~当年6月までの報酬月額の平均との間に、



標準報酬月額等級区分で2等級以上の差があれば



年間平均による保険者算定の対象となります。




2018年6月6日水曜日

6月に施行される主な制度等は


◎日本版「司法取引制度」(6月1日施行)……



特定の財政経済犯罪及び薬物銃器犯罪について、



容疑者や被告が「他人の刑事事件」の



解明に協力する見返りに、不起訴にしたり、



求刑を軽くする制度が導入されます。



脱税や独占禁止法違反、金融商品取引法違反、



特許法違反なども対象になります。




◎改正割賦販売法(6月1日施行)……



クレジットカードを取り扱う加盟店も、



カード番号等の適切な管理や



不正使用対策を講じることが義務付けられ、



*カード情報の非保持化、



*ICカード決済が可能な端末の設置、



*ネット取引は、



なりすましによる不正使用防止対策、等が必要になります。




◎「医療広告ガイドライン」の改定(6月1日施行)……



医療法等の改正により、



医療機関のウェブサイト等についても、



他の広告媒体と同様に規制の対象とし、



虚偽又は誇大等の表示を禁止し、



是正命令や罰則等の対象となります。




◎生産性向上特別措置法(6月6日施行)……



同法に基づき市町村の認定を受けた中小企業が取得する



一定の設備について、



固定資産税の課税標準を3年間ゼロ~1/2



(市町村の条例で定める割合)に軽減する



特例措置が実施されます。



なお、特例措置が実施されるためには、



法施行後に各市町村による「導入促進基本計画」の策定や、



特例率を定める条例の制定等が必要です。



◎住宅宿泊事業法(6月15日施行)……



民泊を行う場合のルールとして、



*都道府県知事等への届出が必要、



*サービスを提供できる日数は年間180日まで、



*衛生確保や騒音防止、



宿泊者名簿の備付けなどの義務付け、等が定められています。