インターネット等を介して国内外で行われる
電子書籍や音楽、広告の配信などの
「電気通信利用役務の提供」について、
消費税の課税関係が以下のように見直され、
27年10月以後から適用されます。
◎内外判定基準の見直し……
電気通信利用役務の提供については、
消費税の課税対象となる国内取引に
該当するか否かの判定基準が
「役務の提供を受ける者の住所等」に見直されます
(現行は役務の提供を行う者の事務所等の所在地)。
これにより、国外事業者が国内の
事業者・消費者に行う電気通信利用役務の提供は、
国内取引に該当し課税対象になります。
◎リバースチャージ方式の導入……
国内事業者が国外事業者から
「事業者向け電気通信利用役務の提供
(広告配信など役務の提供が
通常事業者に限られるもの)」を受けた場合は、
その役務の提供を受けた国内事業者が、
消費税の申告・納税を行う
「リバースチャージ方式」が導入されます。
ただし、経過措置により、
課税売上割合が95%以上の事業者や
簡易課税制度の適用事業者は、当分の間、
その役務の提供に係る仕入れはなかったものとされ、
リバースチャージ方式による
申告を行う必要はありません。
◎消費者向け電気通信利用役務の
提供に係る仕入税額控除の制限……
国内事業者が国外事業者から
「消費者向け電気通信利用役務の提供
(電子書籍や音楽の配信など
事業者向け電気通信利用役務の
提供以外のもの)」を受けた場合は、当分の間、
その役務の提供に係る仕入税額控除が制限されます。
ただし、
「登録国外事業者」から提供を受ける場合は、
仕入税額控除を行うことができます。
なお、登録国外事業者は8月17日現在で
6社が登録を受けています。
マイナンバー(個人番号)は、
今年10月から「通知カード」で通知され、
28年1月から利用が始まりますが、
税や社会保障の手続きのために
事業者は従業員等のマイナンバーを
取得する必要があります。
◆Q&A
Q.28年1月以前に、
従業員等からマイナンバーを収集することはできる?
A.マイナンバーの通知を受けている本人から、
あらかじめ収集することは可能です。
Q.従業員等からマイナンバーを
取得する際、手続きは必要?
A.取得する際は、
本人に利用目的を明示するとともに、
本人確認を行う必要があります。
Q.どのように本人確認を行えばよい?
A.番号確認と身元確認が必要となり、
原則として、①個人番号カード、
②通知カード+運転免許証など、
③個人番号の記載された
住民票の写しなど+運転免許証など、
のいずれかの方法で確認します。
なお、雇用関係にあることなどから
本人に相違ないことが明らかな場合は、
身元確認を不要とすることも認められます。
Q.扶養控除等申告書に記載される
扶養親族のマイナンバーは?
A.扶養控除等申告書を提出する従業員等が
扶養親族のマイナンバーを取得し、記載します。
Q.内定者にマイナンバーの提供を求めることは?
A.内定者が確実に雇用されることが
予想される場合(正式な内定通知がなされ、
入社に関する誓約書を提出した場合等)には、
その時点で提供を求めることができます。
今年5月に施行された改正会社法は、
主に上場企業や大企業に影響を与える
改正が中心ですが、
中小企業も知っておきたい改正も含まれています。
◆特別支配株主の株式等売渡請求の創設
議決権の90%以上を
保有する株主(特別支配株主)が、
他の株主全員に対して全ての株式を
売り渡すように請求できる制度が創設されました。
同制度による売渡請求を行う場合は、
特別支配株主が対象株式の買取価格や、
株式を取得する日などを定めた上で、
株式の発行会社に通知し、
承認を受ける必要があります
(取締役会設置会社では取締役会の承認)。
承認後、会社は取得日の20日前までに、
売渡請求を承認した旨や、
売渡の対価に関する事項など
一定事項の通知を少数株主へ行うことで、
株式を取得できます。
◆監査役の監査範囲の限定について登記が必要
ただし、売り渡し請求を
受けた株主(売渡株主)は、
特別支配株主が提示した株式の
買取価格が会社の財産の状況などから
著しく不当である場合や、
売渡株主が不利益を受けるおそれがある場合は、
特別支配株主に売渡請求を
やめるよう請求できます。
また、裁判所への価格決定の申し立てや、
売り渡しの無効を訴えを起こすことができます。
この他、定款で監査役の監査範囲が
会計監査のみに限定する会社
(多くの中小企業が該当)について、
「監査役の監査の範囲を会計に限定する旨」を
登記することが必要となりました。
5月以降、最初に監査役が
選任・退任する際の登記に併せて、
会計に限定する旨を登記することになります。