今年6月に成立した
中小企業信用保険法等の
一部改正の施行期日が
30年4月1日に定められました。
◆来年4月から適用される主な保証制度
◎危機関連保証の創設……
大規模な経済危機や災害等の発生時に、
業種・地域を問わず迅速に発動できる
新たなセーフティネットとして、
100%保証の危機関連保証を創設します
(従来の保証限度額とは別枠で
最大2.8億円の保証を実施)。
なお、この措置の適用期限は
原則1年以内(最大2年)です。
◎小規模事業者への支援拡充……
従業員20人以下
(商業、サービス業の場合は5人以下)の
小規模事業者を対象とした
100%保証の特別小口保険に係る
保証と小口零細企業保証について、
保証限度額を2千万円
(現行1250万円)に拡充します。
◎創業関連保証の拡充……
創業予定の方や、
創業後5年未満の方などが
対象となる100%保証の
創業関連保証について、
自己資金要件なしで保証を受けることができ、
保証限度額が2千万円
(現行1千万円)に拡充されます。
◎特定経営承継関連保証の創設……
事業承継を一層促進するため、
経営承継円滑化法に基づく認定を
受けた中小企業の代表者個人が
承継時に必要とする資金
(株式取得資金や事業用資産等に
係る相続税や贈与税の納税資金等)を
信用保証の対象とします。
◎セーフティネット保証5号の
保証割合引下げ……
不況業種を対象とした
セーフティネット保証5号の
保証割合を100%から80%に変更します。
保証割合の変更は、
30年4月1日以降に
保証申込の受付がされた
融資に対して適用されます
(30年3月末までに
保証申込の受付がされた融資は100%保証)。
◆申告所得金額は7年連続増で過去最高
国税庁が公表した
「平成28事務年度 法人税等の申告事績」
によると、
28年度に法人税の申告を行った件数は
286万1千件で、
その申告所得金額は
63兆4749億円
(前年度比3.2%増)と
7年連続で増加し、
過去最高となりました。
また、申告を行った法人のうち
95万件(同4.8%増)が
黒字申告となり、
その黒字申告の割合は33.2%
(同1.1ポイント増)と
6年連続で上昇しました。
黒字申告1件当たりの
所得金額は6679万円
(同1.6%減)となっています。
一方、約7割を占める
赤字法人の申告欠損金額は
11兆9162億円(同13.1%減)、
赤字申告1件あたりの
欠損金額は624万円
(同12.8%減)と、
ともに減少しています。
◆欠損金の「繰越控除」と「繰戻還付」
欠損金が生じた場合に、
適用できる制度として
「繰越控除」と
「繰戻還付」があります
(繰戻還付の適用は中小法人等や
災害損失欠損金を有する法人に限られます)。
繰越控除は、
欠損金を翌年度以降9年間
(30年4月開始事業年度から10年間)
にわたり繰り越すことができ、
繰越期間中の事業年度で生じた
所得金額から控除する制度です。
ただし、中小法人等以外については
控除できる金額に制限があります
(29年4月開始事業年度は
所得金額の55%、
30年4月開始事業年度からは50%が限度)。
一方、繰戻還付は、
前年度に所得があり
法人税を納付していた場合、
その所得と相殺することで
納付した法人税の還付を
受けることができる制度です。
個人型確定拠出年金
「iDeCo(イデコ)」の
加入者数が認知度向上により急増しています。
◆加入者は改正後
8ヵ月で倍増し、62万人に
iDeCoは、
任意で加入することにより
公的年金に上乗せして
給付を受けられる私的年金のひとつで、
加入者自らが掛金を
拠出して運用方法を選び、
年金として受け取る金額は
運用成績によって変動するものです。
今年1月から制度改正により
iDeCoの加入対象者が拡大し、
基本的に60歳未満の全ての方が
利用できるようになりましたが、
国民年金基金連合会が
公表した加入者数の状況によると、
今年8月時点で62万339人となり、
制度改正前の30万6314人
(28年12月時点)から倍増しました。
◆掛金払込証明書を確定申告や年末調整で提出
iDeCoの大きなメリットとして、
①掛金は「小規模企業共済等掛金控除」の
対象となり全額所得控除、
②運用益は非課税、
③受給時は所得控除
(年金で受給する場合は「公的年金等控除」、
一時金の場合は「退職所得控除」)
の適用が受けられます。
掛金を納付した加入者
(納付方法が「個人払込」の方)には、
国民年金基金連合会から
毎年10月下旬(初回の掛金納付が
10月以降の加入者には翌年1月)に
「小規模企業共済等掛金払込証明書」が
送られてきますので、
確定申告や年末調整の際に添付等して、
控除を受けます。
なお、小規模企業共済等掛金控除は
加入者本人の掛金しか
所得控除できませんので、
社会保険料控除のように
世帯主などが生計を一にする配偶者や
その他の親族の分を含めることはできません。