2018年12月25日火曜日

平成31年度税制改正大綱(主な中小企業関連)


◎個人事業者の事業承継税制(納税猶予)の創設……



個人事業者が事業(不動産貸付事業等を除く)



の用に供していた土地、建物及び一定の減価償却資産を、



後継者(承継計画や経営承継円滑化法の認定が必要)が



相続又は贈与により取得し、事業を継続する場合は、



担保の提供を条件に相続税又は贈与税の納税が猶予されます。



なお、



特定事業用宅地等に係る小規模宅地等の特例との併用はできません。



31年(2019年)1月以後の相続又は贈与に適用。




◎特定事業用宅地等に係る小規模宅地等の特例の見直し……



被相続人等の事業(貸付事業を除く)



の用に供していた宅地等を相続等で取得し、



事業を引き継ぐなどの要件を満たす場合に、



400㎡まで相続税評価額を80%減額する特例の対象から、



「相続開始前3年以内に事業の用に供された宅地等



(一定の場合を除く)」が除外となります。



31年4月以後の相続等に適用



(ただし、同日前から事業の用に供していた宅地等には適用しない)。




◎防災・減災設備投資減税の創設……



中小企業等経営強化法の改正を前提に、



事業継続力強化計画(仮称)に基づき一定の



防災・減災設備を取得等した場合は、



取得価額の20%の特別償却ができます。



経営強化法の改正の施行日以後に適用。




◎商業・サービス業・農林水産業活性化税制の見直し……



経営改善により売上高又は



営業利益が年2%以上向上することについて、



認定経営革新等支援機関等の確認を受けることが



適用要件に加えられます。



31年4月以後に適用(経過措置あり)。




◎その他……



*研究開発税制の見直し、



*外国人旅行者向け消費税免税制度の拡充、など。



2018年12月11日火曜日

今国会で成立した主な改正法等は


本日、第197回臨時国会が閉会します。



成立した主な改正法等は次のとおりです。




◎入管法等の改正……



人材確保が困難な業種における



外国人労働者の受入れ拡大を図るため、



新たな在留資格「特定技能」を創設します。



「特定技能1号」は



相当程度の知識又は経験を必要とする技能を持つ



外国人が対象となり、



在留期間は最長5年で、家族帯同は原則できません。



「特定技能2号」は



熟練した技能を持つ外国人が対象となり、



在留期間は更新可能で、家族帯同も認められます。



また、



法務省の外局として「出入国在留管理庁」を新設します。



一部を除き、31年(2019年)4月に施行。




◎水道法の改正……



水道事業の経営基盤の強化を図るため、



自治体が水道施設を所有したまま



運営権を民間事業者に設定できる



「コンセッション方式」を導入できるようにします。



また、



複数の自治体間の広域的な連携を推進するための措置が



講じられます。一部を除き、公布日から1年以内に施行。




◎入場券不正転売禁止法の創設……



スポーツや音楽などの興行に関する



チケットの不正転売を防止するため、



転売を禁止する旨が明示され、



販売時に本人確認を行っているなどの



要件を満たすチケットを対象に、



営利目的での転売を禁止し、罰則



(1年以下の懲役又は100万円以下の罰金)が



設けられました。



公布日から6ヵ月経過した日から施行。




◎新天皇の即位に関する祝日……



来年に限り、新天皇が即位される5月1日と、



「即位礼正殿の儀」が行われる



10月22日を祝日にします。



祝日に挟まれた日を休日とする祝日法の規定により、



来年のゴールデンウイークは10連休になります。





2018年12月4日火曜日

e-Tax利用の簡便化に関するQ&A


来年1月から、e-Tax利用の簡便化が実施され、



個人納税者の方は「マイナンバーカード方式」と



「ID・パスワード方式」の2つの方式で



e-Taxを利用できるようになります。




◆Q&A




Q.マイナンバーカード方式とは?




A.マイナンバーカードとICカードリーダライタを利用して、



e-Taxへログインするだけで、



e-Taxを開始できます。



利用するための申請書などは不要です。



なお、e-Taxにログインする際や



申告等データに電子署名を行う際に、



マイナンバーカードのパスワードが必要となります。




Q.ID・パスワード方式とは?




A.マイナンバーカードや



ICカードリーダライタを持っていない場合でも、



e-Tax用のIDとパスワードを利用して、



国税庁HPの「確定申告書等作成コーナー」から



e-Taxによる送信ができます。



IDとパスワードは、



税務署で職員と対面による本人確認を行った上で、



発行されます。




Q.来年1月以降、従来の方法でe-Taxはできる? 




A.利用者識別番号や電子証明書を使った従来の方法も、



引き続きe-Taxによる電子申告ができます。




Q.スマートフォンからe-Taxは利用できる?




A.来年1月から、スマートフォンでも国税庁HP上の



「確定申告書等作成コーナー」で、



所得税の確定申告書の作成ができるようになり、



ID・パスワード方式を利用して



e-Taxによる電子申告ができます。



また、給与所得者(年末調整済み)で、



医療費控除又は寄附金控除を適用して申告する方は、



「スマホ専用画面」を利用できます。




2018年11月26日月曜日

相続法改正の施行期日が決定


今年7月に成立した民法等(相続法)改正について、



施行期日が政令で定められました。




◆来年1月から段階的に施行される改正法




 相続法が約40年ぶりに大幅に見直され、



配偶者居住権の新設をはじめ、



遺産分割や遺言制度に関する見直しなど、



多岐にわたる改正が実施されます。




 改正法の施行期日は原則として、



31年(2019年)7月1日ですが、



一部の規定は施行期日が異なり、



以下のように段階的に施行されます。




◎自筆証書遺言の方式緩和(31年1月13日)……



自筆証書遺言を作成する際、



添付する財産目録は自書でなくてもよいものとされ、



パソコンで作成した目録や通帳のコピー等の添付が



可能になります。




◎原則的な施行(31年7月1日)……



相続された預貯金債権について、



遺産分割前にも払戻しが受けられる制度の創設や、



相続人以外の親族が無償で



被相続人の療養看護等を行った場合、



相続人に対して金銭請求ができる制度の創設のほか、



遺留分制度や相続の効力等に関する



見直しなどが行われます。




◎配偶者居住権の新設(32年4月1日)……



配偶者が相続開始時に被相続人の建物に住んでいた場合、



遺産分割が終了するまでの間(最低でも6ヵ月間)



は建物を無償で使用できる権利(配偶者短期居住権)や、



配偶者に終身または一定期間、



建物の使用を認める権利(配偶者居住権)が新設されます。




◎法務局における自筆証書遺言の保管制度の創設



(32年7月10日)……



自筆証書遺言に係る遺言書は現状、



自宅で保管するケースが多く、



紛失や相続人による隠匿、



改ざんなどのおそれがありますが、



法務局において保管できるようになります。







2018年11月20日火曜日

「雑損控除」と「災害減免法」


給与所得者は原則、



年末調整を行うため確定申告は不要ですが、



年末調整では対応していない医療費控除や寄附金控除、



雑損控除、住宅ローン控除(初回適用のみ)



などの適用を受ける場合は確定申告をします。



申告の際に必要となる領収書や証明書などを



準備しておきましょう。




◆災害により住宅や家財に損害を受けた場合は




 今年も台風や豪雨、地震などの自然災害により、



各地で甚大な被害が発生しました。



災害によって住宅や家財などに損害を受けた方は、



「雑損控除(所得控除)」又は



「災害減免法(所得税額の軽減免除)」の



どちらか有利な方法を選択することができます。




 なお、被災者が地方公共団体から



義援金の配分を受けた場合でも損失額の計算上、



その金額を補填された金額として控除する必要はありません。




◎雑損控除……



生活に通常必要と認められる住宅や家具、



車両(専ら通勤に使用している場合など)などの資産が



損害を受けた場合に、



「損失額(保険金などの補填される金額を控除)-所得金額の10%」



又は「損失額のうち災害関連支出額(取り壊しや除去費用など)-5万円」



のいずれか多い方を所得金額から控除できます。



その年の所得金額から控除しきれない金額がある場合には、



翌年以後3年間繰り越して控除できます。




◎災害減免法……



災害があった年分の所得金額が1千万円以下の方で、



住宅や家財の損失額が時価の1/2以上の場合に



適用できます。



所得金額により軽減額が異なり、



500万円以下は所得税額を全額免除、



500万円超750万円以下は税額の1/2、



750万円超1千万円以下は税額の1/4を軽減できます。





2018年11月13日火曜日

延長される?教育資金等の贈与税非課税措置

祖父母等が子や孫に対して、



教育資金や結婚・子育て資金を一括贈与した場合、



それぞれ贈与税の非課税措置が設けられています。



現行の適用期限は来年3月末までとなっていますが、



文科省は来年度税制改正で恒久化を要望しており、



延長される可能性があります。




◆塾や習い事の費用も対象となる非課税措置




 教育資金に係る措置は、祖父母等(受贈者の直系尊属)が



30歳未満の子・孫に対して教育資金を一括贈与する場合、



受贈者ごとに1500万円



(塾や習い事など学校等以外に支払う費用は



500万円が限度)まで贈与税を非課税とするもので、



利用するには取扱金融機関で専用口座を開設し、



贈与する資金の預入等を行い管理する必要があります。




 同措置では受贈者が30歳に達した場合などに



契約終了となり、



その時点で教育資金として使われなかった残額は



贈与税の課税対象となります。



ただし、



契約期間中に贈与者が亡くなった場合における残額は



相続財産に加算されません。




◆結婚や子育て資金を1千万円まで非課税に




 結婚・子育て資金に係る措置は、



祖父母等(受贈者の直系尊属)が



20歳以上50歳未満の子・孫に対して



結婚・子育て資金を一括贈与する場合、



受贈者ごとに1千万円



(結婚関係の費用は300万円が限度)まで



非課税とするものです。




 教育資金の措置と同様に、



取扱金融機関で専用口座を開設し、



受贈者が50歳に達した時点での残額は



贈与税の課税対象となります。



なお、



贈与者が亡くなった場合における残額の取扱いは異なり、



相続財産に加算されるため、注意が必要です。





2018年11月5日月曜日

年末調整に関するQ&A


年末調整の時期が近づいてきました。




Q.年末調整の対象者は?




A.「扶養控除等(異動)申告書」を提出しており、



年末まで勤務している方が対象です



(給与総額が2千万円超の方などは除く)。



なお、給与以外の所得がある場合などで



確定申告をする方でも、対象者は年末調整を行います。




Q.年末調整の対象となる給与は?




A.1月から12月までの間に支払うことが確定した給与です



(未払いがある場合でも年末調整の対象)。



また、年の中途で入社した方が、



入社前に別の会社から給与を受け取っていた場合は、



その給与を含めて年末調整をします(前職の源泉徴収票で確認)。




Q.配偶者控除等の適用を受ける場合は?




A.今年から、年末調整において配偶者控除又は



配偶者特別控除の適用を受けるためには



配偶者控除等申告書」の提出が必要です。




Q.扶養控除などの適用は、いつの時点で判定?




A.配偶者や扶養親族が控除対象に該当するかは、



年末調整を行う時点の現況で判断することになります



(その年の12月31日までに異動があった場合は、



年末調整をやり直します)。



なお、年の途中で亡くなった場合は、



その時点で要件を満たしていれば控除を適用できます。




Q.別居している扶養親族等は控除の対象になる?




A.常に生活費や療養費を送金しているなど、



本人と生計を一にしている場合は対象になります。



なお、



国外に居住する親族について



扶養控除等の適用を受けるためには、



当該親族に関する「親族関係書類」及び



「送金関係書類」の提出等が必要です。





2018年10月29日月曜日

軽減税率制度に伴い必要となる対応


◆多くの事業者に区分経理の対応が必要




 来年10月から消費税率10%への引上げとともに、



飲食料品(酒類・外食を除く)などを対象とした



軽減税率制度が実施されます。




 これに伴い、



軽減税率対象品目の売上げや仕入れがある課税事業者は、



複数税率に対応した請求書等



(区分記載請求書等)の交付や、



売上げや仕入れを税率ごとに区分して



帳簿等に記帳することが必要になります。



そのため、軽減税率対象品目の売上げがない事業者でも、



会議費や交際費として飲食料品を購入する場合など、



軽減税率対象品目の仕入れがあれば区分経理の対応が必要です。




 なお、消費税の仕入税額控除の適用には、



区分経理に対応した帳簿及び区分記載請求書等の保存が



要件となります(区分記載請求書等保存方式)。




◆中小事業者に対する税額計算の特例




 軽減税率制度実施後の消費税額の計算は、



基本的に売上げと仕入れを税率ごとに区分して



税額計算を行うことになります。




 ただし、



売上げ又は仕入れを税率ごとに区分することが困難な



中小事業者(前々事業年度における課税売上高が5千万円以下)



に対しては経過措置として、



次のような税額計算の特例が設けられています。 




◎売上税額の計算の特例……



売上げの一定割合を軽減税率の対象売上げとして



売上税額を計算できる。




◎仕入税額の計算の特例……



①仕入れの一定割合を軽減税率の対象仕入れとして、



仕入税額を計算する、



又は②簡易課税制度の届出の特例



(消費税簡易課税制度選択届出書を提出した課税期間から



同制度の適用が可能)を適用できる。