2018年10月29日月曜日

軽減税率制度に伴い必要となる対応


◆多くの事業者に区分経理の対応が必要




 来年10月から消費税率10%への引上げとともに、



飲食料品(酒類・外食を除く)などを対象とした



軽減税率制度が実施されます。




 これに伴い、



軽減税率対象品目の売上げや仕入れがある課税事業者は、



複数税率に対応した請求書等



(区分記載請求書等)の交付や、



売上げや仕入れを税率ごとに区分して



帳簿等に記帳することが必要になります。



そのため、軽減税率対象品目の売上げがない事業者でも、



会議費や交際費として飲食料品を購入する場合など、



軽減税率対象品目の仕入れがあれば区分経理の対応が必要です。




 なお、消費税の仕入税額控除の適用には、



区分経理に対応した帳簿及び区分記載請求書等の保存が



要件となります(区分記載請求書等保存方式)。




◆中小事業者に対する税額計算の特例




 軽減税率制度実施後の消費税額の計算は、



基本的に売上げと仕入れを税率ごとに区分して



税額計算を行うことになります。




 ただし、



売上げ又は仕入れを税率ごとに区分することが困難な



中小事業者(前々事業年度における課税売上高が5千万円以下)



に対しては経過措置として、



次のような税額計算の特例が設けられています。 




◎売上税額の計算の特例……



売上げの一定割合を軽減税率の対象売上げとして



売上税額を計算できる。




◎仕入税額の計算の特例……



①仕入れの一定割合を軽減税率の対象仕入れとして、



仕入税額を計算する、



又は②簡易課税制度の届出の特例



(消費税簡易課税制度選択届出書を提出した課税期間から



同制度の適用が可能)を適用できる。





2018年10月22日月曜日

「配偶者控除等申告書」に関するQ&A


配偶者控除又は配偶者特別控除の見直しにより、



今年から給与所得者が年末調整において



配偶者控除等を適用する場合は



「給与所得者の配偶者控除等申告書」を提出する必要があります。




◆Q&A




Q.配偶者控除等申告書の提出が必要となるのは?




A.給与所得者本人の合計所得金額が1千万円以下



(給与所得のみの場合は年収1220万円以下)であり、



生計を一にする配偶者の合計所得金額が123万円以下



(同201万6千円未満)の場合に、



配偶者控除又は配偶者特別控除の適用対象となりますので、



該当する方が年末調整において



配偶者控除等の適用を受けるためには、



配偶者控除等申告書の提出が必要となります。




Q.配偶者控除等申告書は、いつ提出する?




A.その年の最後に給与等の支払を受ける日の前日までに、提出します。




Q.年末調整後、申告書に記載した



配偶者の合計所得金額の見積額と確定額に差が生じ、



適用を受ける控除額に変更がある場合は?




A.その年分の源泉徴収票を交付する時までに、



見積額の異動に関する申出があった場合は、



年末調整の再調整を行うことができます。




Q.申告書にマイナンバーの記載は必要?




A.原則、記載する必要がありますが、



①従業員が申告書の余白に



「給与支払者に提供済みのマイナンバーと相違ない」旨を



記載した上で、



給与支払者が確認した旨を表示している場合や、



②記載すべきマイナンバー、



その他の事項を記載した一定の帳簿を備え付けている場合には、



記載を省略できます。





2018年10月15日月曜日

法人の黒字申告割合は34.2%


◆申告所得金額は8年連続で増加し過去最高




 国税庁が公表した



「平成29事務年度 法人税等の申告事績」によると、



29年度における法人税の申告件数は289万6千件で、



その申告所得金額は過去最高となる70兆7677億円



(前年度比11.5%増)と8年連続で増加し、



申告税額は12兆4730億円(同11.0%増)でした。




 また、申告を行った法人のうち99万件(同4.1%増)



が黒字申告となり、



黒字申告の割合は34.2%(同1.0ポイント増)と



7年連続の上昇となりました。



黒字申告1件当たりの所得金額は7150万円



(同7.1%増)となっています。




 一方、



6割超を占める赤字法人の申告欠損金額は



13兆7101億円(同15.1%増)で、



1件あたりの欠損金額は719万円(同15.3%増)と、



増加しています。




◆欠損金の「繰越控除」と「繰戻還付」




 欠損金が生じた場合に適用できる制度として、



欠損金を繰り越して



翌年度以降に生じた所得金額から控除する「繰越控除」と、



前年度に所得があり法人税を納付していた場合に、



欠損金を前年度に繰り戻すことで法人税の還付を受ける



「繰戻還付」があります。



ただし、



繰戻還付の適用は資本金1億円以下の中小法人等に限られます。




 なお、



「繰越控除」における欠損金の繰越期間は9年でしたが、



30年4月以後に開始する事業年度で生じた欠損金から



10年になります。また、



中小法人等以外については控除額に制限がありますが、



30年4月以後の開始事業年度から所得金額の50%が



控除限度額となります。



2018年10月1日月曜日

29年分の平均給与は432万円


国税庁は「平成29年分民間給与実態統計調査」を公表しました。




◆平均給与は前年比2.5%増で5年連続増加




 調査結果によると、



1年を通じて勤務した給与所得者4945万人



(男性2936万人、女性2009万人、



平均年齢46.0歳、平均勤続年数12.1年)



の平均給与は、前年比2.5%増の432万円となり、



5年連続で増加しました。



男女別では、男性532万円、女性287万円です。




 また、平均給与を事業所規模別にみると、



従事員10人未満の事業所では352万円、



10~29人では415万円、



30人以上では454万円となっています。




 なお、給与所得者の給与階級別分布では、



300万円超400万円以下が867万人



(構成比17.5%)で最も多く、



次いで200万円超300万円以下が781万人



(同15.8%)で、



400万円以下の給与所得者は



合計2733万人と全体の55.2%を占めています。




◆税額の約5割は1千万円超の給与所得者から




 1年を通じて勤務した給与所得者が



源泉徴収により所得税を納税した税額は




9兆7384億円で、



給与総額に占める税額の割合は4.89%でした。



また、給与階級別の税額をみると、



1千万円超の給与所得者は222万人で



全体の4.5%にすぎませんが、



その税額は合計5兆183億円で51.5%を占めます。




 なお、昨年から給与収入が1千万円を超える場合の



給与所得控除額は220万円が上限となっていますが、



32年(2020年)以降は



給与収入850万円超の場合に



195万円が控除額の上限となり、



さらに税負担が増加します



(特別障害者の方や



22歳以下の扶養親族がいる方などは負担調整措置があります)。