来月から高齢者の介護・医療保険制度について、
主に現役並み所得者に対する見直しが行われます。
◎介護保険利用者の負担割合の見直し……
介護サービスの利用者負担割合について、
65歳以上(第1号被保険者)で
現役並みの所得のある方は、3割に引上げられます。
3割負担になるのは、
①本人の合計所得金額が220万円以上、かつ
②同一世帯の65歳以上の
「年金収入+その他の合計所得金額」が
単身世帯340万円以上、
2人以上世帯463万円以上、となる方です。
なお、1ヵ月の負担額が4万4400円を超えた場合、
超えた金額は高額介護サービス費が支給されます。
◎70歳以上の高額療養費の上限額変更……
同月内に支払った医療費が一定の上限額
(自己負担限度額)を超えた場合、
その超えた額が払い戻される高額療養費制度について、
70歳以上の方の上限額(月ごと)が
次のように変わります。
*現役並み所得者(年収約370万円以上)について、
区分を3つに細分化した上で、
70歳未満と同様の所得に応じた限度額に引上げます。
また、「外来」の区分が無くなります。
*一般所得者(年収約156万円~370万円)について、
「外来」の上限額を1万8千円
(現行1万4千円)に引上げます。
◎高額介護合算療養費制度の見直し……
医療保険と介護保険における
1年間の自己負担の合算額が限度額を超えた場合に
支給される高額介護合算療養費制度について、
70歳以上の現役並み所得者
(年収約370万円以上)の方は、
区分を細分化した上で70歳未満と同様の限度額に引上げます。
今月22日に閉会した第196回通常国会において、
4月以降に成立した
企業に関係する主な改正法等は次のとおりです。
◎働き方改革関連法……
*時間外労働の上限について、
月45時間、年360時間を原則とし、
臨時的な特別な事情がある場合でも年720時間、
単月100時間未満、複数月平均80時間を限度に設定、
*月60時間を超える時間外労働に係る割増賃金率
(50%以上)について、
35年(2023年)4月から
中小企業への猶予措置を廃止、
*高度プロフェッショナル制度の創設、など。
◎健康増進法の改正……
受動喫煙の防止を図るため、学校や病院、行政機関などは
「敷地内禁煙(屋外の喫煙所設置は可)」、
事務所や飲食店などは
「原則屋内禁煙(喫煙室内での喫煙可)」とする。
ただし、
既存の飲食店のうち客席面積100㎡以下等の場合は
標識の掲示により喫煙可とする経過措置を設ける。
◎不正競争防止法の改正……
ID・パスワード等の管理を施した上で
事業として提供されるデータの不正取得・使用等を
新たに不正競争行為に位置づけ、
差止請求権等の民事上の措置を設ける。
◎工業標準化法の改正……
*標準化の対象に新たにデータ、
サービス等を追加し、
「日本工業規格(JIS)」を
「日本産業規格(JIS)」に変更、
*認証を受けずにJISマークの表示をした
法人等に対する罰金刑の上限を1億円に引上げる。
◎特許法の改正……
一部の中小企業が対象だった特許料等の軽減措置を、
全ての中小企業に拡充。
◎その他……
*商法(運送法・海商法)改正、
*環太平洋パートナーシップ協定関連法など。
相続法制を約40年ぶりに大幅に見直す
民法等の改正が成立しました
(一部を除き、原則1年以内に施行)。
改正法は、配偶者保護の方策をはじめ多岐にわたりますが、
主な項目は以下のとおりです。
◆改正の主なポイント
◎配偶者短期居住権の創設……
配偶者が相続開始時に被相続人の建物に住んでいた場合、
遺産分割が終了するまでの間(最低でも6ヵ月間)は
建物を無償で使用できるようになります。
◎配偶者居住権の創設……
配偶者が相続開始時に居住していた
被相続人の建物を対象に、
終身又は一定期間、
配偶者が建物を使用できる権利を新設し、
遺産分割や被相続人の遺言等によって取得できるようになります。
◎夫婦間で居住用不動産を贈与等した場合の取扱い……
婚姻期間20年以上の夫婦間で
居住用不動産を贈与等した場合、
遺産分割において原則、遺産の先渡し(特別受益)
として取り扱う必要がなくなります(持戻し計算が不要)。
◎預貯金債権の仮払い制度の創設……
相続した預貯金債権について、
生活費や葬儀費用の支払、
相続債務の弁済などに対応できるよう、
遺産分割前に払戻しが受けられるようになります。
◎特別寄与制度の創設……
相続人以外の親族が被相続人の療養看護等を行った場合、
相続人に対して金銭の支払を請求できるようになります。
◎自筆証書遺言に関する見直し……
*自筆証書遺言を作成する場合、
財産目録は自書でなくパソコン等で作成することが可能、
*法務局において
自筆証書遺言に係る遺言書を保管できる制度が創設されます。
西日本を中心とした広い範囲で記録的な豪雨となり、
各地で甚大な被害が出ています。
これにより被災した中小企業対策として、
日本公庫等のによる災害復旧貸付や
信用保証協会によるセーフティネット保証4号
などが実施されます。
◆資産が損害を受けた場合などの主な取扱い
◎会社の資産が損害を受けた場合……
災害により商品や店舗などが滅失・損壊した場合の
損失額や、損壊した資産の取壊し、
土砂などを除去するための費用は、損金になります。
また、損傷を受けた店舗や機械などの固定資産について、
原状回復のために補修などを行った場合も
修繕費として損金になります。
◎簡易課税制度の適用(不適用)に関する特例……
事業者が被災したことにより、
消費税の簡易課税制度の適用が必要になった場合、
又は適用が不要となった場合には、
税務署長の承認を受けることで、
その課税期間等について適用を受ける、
又はやめることができます。
例えば、業務用の資産に相当な損害を受けて、
緊急に設備投資を行うため、
簡易課税から一般課税へ変更する場合などに適用できます。
◎災害損失欠損金額の取扱い……
災害のあった事業年度において
災害損失欠損金額がある場合には、
その事業年度開始から
2年以内に開始した事業年度の法人税額のうち、
災害損失欠損金額に対応する金額を還付請求できます。
◎被災した取引先等に対する災害見舞金等……
災害見舞金や事業用資産の供与等を行なった場合、
交際費等にはならず全額損金になります。
また、
取引先の復旧支援を目的に
売掛金や貸付金等の債権を免除した場合は、
免除による損失を損金に算入できます。
本日、30年分の路線価(及び評価倍率)が公表されます。
◆相続等における土地評価額の算定基準
路線価等は、
相続税や贈与税において
土地の評価額を算定する際の基準となる価格で、
その年の1月1日時点での評価額として公表されます。
相続等で取得した土地の評価方法には、
路線価方式と倍率方式があり、
路線価方式は路線価
(道路に面した標準的な宅地の1㎡あたりの価額)
を土地の形状等に応じた各種補正率で
補正した後の面積に乗じて計算します。
一方、倍率方式は、
路線価が定められていない土地の評価方法となり、
固定資産税評価額に一定の倍率を乗じて計算します。
27年以降、
相続税の基礎控除額は
「3千万円+600万円×法定相続人数」に
引下げられましたが、
土地は相続財産で大きな割合を占めますので、
路線価等を確認し、評価額を把握しておくことも大切です。
◆「小規模宅地等の特例」の適用がポイント
相続財産に被相続人(亡くなった方)の
居住または事業用に使われていた宅地等がある場合には、
一定要件のもと評価額を大幅に減額できる
「小規模宅地等の特例」の適用が
大きなポイントになります。
同特例により、
居住用宅地等の場合は
330㎡まで評価額を80%減額できますが、
適用できるのは原則、
被相続人の配偶者や、
被相続人と同居していた親族が取得した場合となります。
ただし、
配偶者や同居親族がいない場合には、
自己所有の家屋に居住していない一定の別居親族
(いわゆる「家なき子」)も適用できます
(30年4月以降、適用要件が厳格化されています)。