2018年7月30日月曜日

来月から変わる介護・医療保険制度


来月から高齢者の介護・医療保険制度について、



主に現役並み所得者に対する見直しが行われます。




◎介護保険利用者の負担割合の見直し……



介護サービスの利用者負担割合について、



65歳以上(第1号被保険者)で



現役並みの所得のある方は、3割に引上げられます。



3割負担になるのは、



①本人の合計所得金額が220万円以上、かつ



②同一世帯の65歳以上の



「年金収入+その他の合計所得金額」が



単身世帯340万円以上、



2人以上世帯463万円以上、となる方です。



なお、1ヵ月の負担額が4万4400円を超えた場合、



超えた金額は高額介護サービス費が支給されます。



◎70歳以上の高額療養費の上限額変更……



同月内に支払った医療費が一定の上限額



(自己負担限度額)を超えた場合、



その超えた額が払い戻される高額療養費制度について、



70歳以上の方の上限額(月ごと)が



次のように変わります。




*現役並み所得者(年収約370万円以上)について、



区分を3つに細分化した上で、



70歳未満と同様の所得に応じた限度額に引上げます。



また、「外来」の区分が無くなります。




*一般所得者(年収約156万円~370万円)について、



「外来」の上限額を1万8千円



(現行1万4千円)に引上げます。




◎高額介護合算療養費制度の見直し……



医療保険と介護保険における



1年間の自己負担の合算額が限度額を超えた場合に



支給される高額介護合算療養費制度について、



70歳以上の現役並み所得者



(年収約370万円以上)の方は、



区分を細分化した上で70歳未満と同様の限度額に引上げます。






2018年7月23日月曜日

4月以降に成立した改正法等(企業関連)

 
今月22日に閉会した第196回通常国会において、



4月以降に成立した



企業に関係する主な改正法等は次のとおりです。




◎働き方改革関連法……



*時間外労働の上限について、



月45時間、年360時間を原則とし、



臨時的な特別な事情がある場合でも年720時間、



単月100時間未満、複数月平均80時間を限度に設定、



*月60時間を超える時間外労働に係る割増賃金率



(50%以上)について、



35年(2023年)4月から



中小企業への猶予措置を廃止、



*高度プロフェッショナル制度の創設、など。




◎健康増進法の改正……



受動喫煙の防止を図るため、学校や病院、行政機関などは



「敷地内禁煙(屋外の喫煙所設置は可)」、



事務所や飲食店などは



「原則屋内禁煙(喫煙室内での喫煙可)」とする。



ただし、



既存の飲食店のうち客席面積100㎡以下等の場合は



標識の掲示により喫煙可とする経過措置を設ける。




◎不正競争防止法の改正……



ID・パスワード等の管理を施した上で



事業として提供されるデータの不正取得・使用等を



新たに不正競争行為に位置づけ、



差止請求権等の民事上の措置を設ける。




◎工業標準化法の改正……



*標準化の対象に新たにデータ、



サービス等を追加し、



「日本工業規格(JIS)」を



「日本産業規格(JIS)」に変更、



*認証を受けずにJISマークの表示をした



法人等に対する罰金刑の上限を1億円に引上げる。




◎特許法の改正……



一部の中小企業が対象だった特許料等の軽減措置を、



全ての中小企業に拡充。




◎その他……



*商法(運送法・海商法)改正、



*環太平洋パートナーシップ協定関連法など。





2018年7月17日火曜日

相続法を見直す民法改正のポイント

相続法制を約40年ぶりに大幅に見直す



民法等の改正が成立しました



(一部を除き、原則1年以内に施行)。



改正法は、配偶者保護の方策をはじめ多岐にわたりますが、



主な項目は以下のとおりです。




◆改正の主なポイント




◎配偶者短期居住権の創設……



配偶者が相続開始時に被相続人の建物に住んでいた場合、



遺産分割が終了するまでの間(最低でも6ヵ月間)は



建物を無償で使用できるようになります。




◎配偶者居住権の創設……



配偶者が相続開始時に居住していた



被相続人の建物を対象に、



終身又は一定期間、



配偶者が建物を使用できる権利を新設し、



遺産分割や被相続人の遺言等によって取得できるようになります。




◎夫婦間で居住用不動産を贈与等した場合の取扱い……



婚姻期間20年以上の夫婦間で



居住用不動産を贈与等した場合、


遺産分割において原則、遺産の先渡し(特別受益)



として取り扱う必要がなくなります(持戻し計算が不要)。




◎預貯金債権の仮払い制度の創設……



相続した預貯金債権について、



生活費や葬儀費用の支払、



相続債務の弁済などに対応できるよう、



遺産分割前に払戻しが受けられるようになります。




◎特別寄与制度の創設……



相続人以外の親族が被相続人の療養看護等を行った場合、



相続人に対して金銭の支払を請求できるようになります。




◎自筆証書遺言に関する見直し……



*自筆証書遺言を作成する場合、



財産目録は自書でなくパソコン等で作成することが可能、



*法務局において



自筆証書遺言に係る遺言書を保管できる制度が創設されます。




2018年7月9日月曜日

会社が被災した場合の税務上の取扱い


西日本を中心とした広い範囲で記録的な豪雨となり、



各地で甚大な被害が出ています。



これにより被災した中小企業対策として、



日本公庫等のによる災害復旧貸付や



信用保証協会によるセーフティネット保証4号



などが実施されます。




◆資産が損害を受けた場合などの主な取扱い




◎会社の資産が損害を受けた場合……



災害により商品や店舗などが滅失・損壊した場合の



損失額や、損壊した資産の取壊し、



土砂などを除去するための費用は、損金になります。



また、損傷を受けた店舗や機械などの固定資産について、



原状回復のために補修などを行った場合も



修繕費として損金になります。




◎簡易課税制度の適用(不適用)に関する特例……



事業者が被災したことにより、



消費税の簡易課税制度の適用が必要になった場合、



又は適用が不要となった場合には、



税務署長の承認を受けることで、



その課税期間等について適用を受ける、



又はやめることができます。



例えば、業務用の資産に相当な損害を受けて、



緊急に設備投資を行うため、



簡易課税から一般課税へ変更する場合などに適用できます。




◎災害損失欠損金額の取扱い……



災害のあった事業年度において



災害損失欠損金額がある場合には、



その事業年度開始から



2年以内に開始した事業年度の法人税額のうち、



災害損失欠損金額に対応する金額を還付請求できます。




◎被災した取引先等に対する災害見舞金等……



災害見舞金や事業用資産の供与等を行なった場合、



交際費等にはならず全額損金になります。



また、



取引先の復旧支援を目的に



売掛金や貸付金等の債権を免除した場合は、



免除による損失を損金に算入できます。





2018年7月2日月曜日

30年分の路線価等は本日公表


本日、30年分の路線価(及び評価倍率)が公表されます。




◆相続等における土地評価額の算定基準




 路線価等は、



相続税や贈与税において



土地の評価額を算定する際の基準となる価格で、



その年の1月1日時点での評価額として公表されます。




 相続等で取得した土地の評価方法には、



路線価方式と倍率方式があり、



路線価方式は路線価



(道路に面した標準的な宅地の1㎡あたりの価額)



を土地の形状等に応じた各種補正率で



補正した後の面積に乗じて計算します。



一方、倍率方式は、



路線価が定められていない土地の評価方法となり、



固定資産税評価額に一定の倍率を乗じて計算します。




 27年以降、



相続税の基礎控除額は



「3千万円+600万円×法定相続人数」に



引下げられましたが、



土地は相続財産で大きな割合を占めますので、



路線価等を確認し、評価額を把握しておくことも大切です。




◆「小規模宅地等の特例」の適用がポイント




 相続財産に被相続人(亡くなった方)の



居住または事業用に使われていた宅地等がある場合には、



一定要件のもと評価額を大幅に減額できる



「小規模宅地等の特例」の適用が



大きなポイントになります。




 同特例により、



居住用宅地等の場合は



330㎡まで評価額を80%減額できますが、



適用できるのは原則、



被相続人の配偶者や、



被相続人と同居していた親族が取得した場合となります。



 ただし、



配偶者や同居親族がいない場合には、



自己所有の家屋に居住していない一定の別居親族



(いわゆる「家なき子」)も適用できます



(30年4月以降、適用要件が厳格化されています)。