2015年6月29日月曜日

来月から適用開始となる国外転出時課税


◆非居住者への贈与等にも適用




今年度税制改正において創設された



国外転出時課税制度が、7月1日から適用されます。




同制度は、1億円以上の有価証券などの



対象資産を所有等している一定の方が



7月1日以後に国外転出



(国内に住所又は居所を有しないことになること)を



する場合に、対象資産の譲渡等が



あったものとみなして、含み益に所得税を



課税する制度です。




また、対象者が国外転出を行う場合だけではなく、



国外に居住する親族等(非居住者)に対して



対象資産の贈与または相続等が行われた場合にも、



その対象資産の含み益に所得税が課税されます。




◆具体的な対象者や対象資産などは



具体的な対象者は、




*国外転出、贈与または相続開始の時に



対象資産を1億円以上所有等していること、




*国外転出、贈与または



相続開始の日前10年以内において、



国内に5年を超えて住所又は居所を有していること、



に該当する方です。




対象資産については、



有価証券、匿名組合契約の出資の持分、



未決済の信用取引・発行日取引・



デリバティブ取引が該当し、



含み益の有無にかかわらず、



全ての対象資産の価額の合計額



1億円以上となるかどうかを判定します。




同制度の適用対象となる場合は、



所得税の確定申告等の手続を



行う必要があります(相続等の場合は相続人)。




また、一定要件の下、



納税猶予制度や税額の減額措置を




受けることができます。





なお、国外転出等の日から5年以内に



帰国した場合に、



引き続き所有等している対象資産は、



課税の取消しができます。








2015年6月22日月曜日

来年から大きく変わる特定公社債等の課税



平成28年1月から、特定公社債



(国債、地方債、外国国債、公募公社債、



上場公社債などの一定のもの)や、



公募公社債投資信託(MMF、MRFなど)に



対する課税方式が大きく変わります。




◆特定公社債等の所得は申告分離課税に




現行、公社債の利子や



公募公社債投資信託の分配金などは



「源泉分離課税(20.315%)」、



公社債や公募公社債投資信託の



譲渡益は「非課税」、



公社債の償還差益は



「雑所得として総合課税」となっています。




改正により、特定公社債等の利子や売却、



償還などによる所得については、



28年1月から「申告分離課税(20.315%)」に



統一されることになります。



そのため、非課税とされていた譲渡益は、



来年から課税対象となります。




また、上場株式等の譲渡損益や配当等と



損益通算ができるようになり、



特定公社債等の譲渡損失も



3年間の繰越控除が可能となります。




◆特定口座での取り扱いも可能に




特定公社債等が上場株式等



同じ税制になることに伴い、



金融機関に開設した特定口座への



受け入れが可能になり、



上場株式等と一緒に管理できるようになります。




源泉徴収ありの特定口座の場合には、



特定口座内で源泉徴収や損益通算が行われ、



確定申告は不要となります



(譲渡損失の繰越控除などを



適用する場合は確定申告が必要)。





なお、経過措置により、



既に保有している特定公社債等についても、



特定口座に受け入れることができます



(一定期間に所定の手続が必要)。









2015年6月15日月曜日

相続人の範囲と法定相続分に関するQ&A


今年から相続税の基礎控除額が



「3千万円+600万円×法定相続人数」



引下げられています。




改めて、相続人の範囲や法定相続分に



ついて知っておきましょう。




◆Q&A




Q.遺産を相続できるのは誰?




A.遺言がない場合は、



民法で定められた法定相続人が相続します。



被相続人の配偶者(内縁関係は含まれません)は



常に相続人となり、



配偶者とともに、①子、②親などの直系尊属、



③兄弟姉妹の順番で相続人となります。




例えば、配偶者以外に子がいる場合は、



配偶者と子が相続人(配偶者がいない場合は子だけ)



となり、親や兄弟姉妹は相続人になれません。




Q.相続を放棄した人は?




A.初めから相続人でなかったものとされます。




Q.法定相続分とは?




A.民法で定められた各相続人が



受けられる遺産の割合です。



例えば、配偶者と子が相続人の場合は、



配偶者1/2、1/2となり、



配偶者と直系尊属が相続人の場合は、



配偶者2/3、直系尊属1/3となります。



なお、子などが2人以上いるときは、



原則として均等に分けます。




Q.必ず法定相続分どおりに遺産分割する?




A.法定相続分は、遺言がない場合や



相続人の間で遺産分割の合意



できなかった場合の基準となる割合のため、



必ずこの相続分で遺産の分割を



しなければならないわけではありません。



遺言書や、法定相続人全員が合意した



遺産分割協議によって、



法定相続分と異なる相続分を決めることができます。










2015年6月8日月曜日

全面施行された「空家対策特別措置法」



◆指導や勧告等の対象となる「特定空家等」



全国的に増加している空き家の問題に対応するため、



「空家対策特別措置法」が



先月26日に全面施行



(2月26日に一部施行)されました。




これに伴い、適切な管理が行われておらず、



周辺環境に悪影響を及ぼしている



「特定空家等」に該当する



空き家の所有者に対して、



市町村が建物の除却や修繕などの



必要な措置をとるように助言または指導、



勧告、命令の順で行われます。




それでも改善されない場合は



行政代執行による措置が講じられることになります。
 




「特定空家等」とは、



*放置すれば倒壊等著しく



保安上危険となる恐れがある、



*放置すれば著しく衛生上有害となる恐れがある、



*適切な管理が行われていないことにより



著しく景観を損なっている、



*環境の保全を図るために放置することが



不適切である、などの状態が該当します。




◆固定資産税等の軽減が適用除外になるのは



居住用家屋が建っている土地に対しては、



固定資産税の課税標準額が



1/6(200㎡超の部分は1/3)に



軽減される措置(固定資産税等の住宅用地特例)が



講じられており、



空き家の土地であっても適用されています。




この住宅用地特例について、



空家対策特措法に基づく特定空家等に該当し、



市町村が所有者に対して必要な措置を



とる旨の「勧告」を行った場合には、



特例の対象から除外されることになりました。





なお、自治体によっては、



空き家の撤去等を行う所有者に、支援策



(撤去後の固定資産税を一定期間減免する等)を



設けているところもあります。