2014年9月22日月曜日

「みなし役員」に該当する場合は



◆「みなし役員」に該当する要件は



役員に該当する場合、給与を損金算入するためには


定期同額で支給するなどの制限がありますが、


税法上の役員には、取締役や監査役などの


会社法等で規定された役員だけではなく、


一定の条件に該当する方も役員とみなされる


「みなし役員」として、役員と同様の扱いになります。




みなし役員とは、以下の①、②のいずれかに


該当する方をいいます。



①法人の使用人以外で地位、職務等からみて、


他の役員と同様に法人の経営に従事している方



②同族会社の使用人のうち、一定の要件


(主要な株主グループに属し、所有割合が5%超)を


満たし、経営に従事している方



なお、「経営に従事している」とは、


経営方針や資金調達、人事など経営上の


重要事項に関する意思決定に参画しているか


どうかにより判断されます。




◆使用人でも役員とみなされる場合



上記の①は、例えば、取締役になっていない


会長や顧問、相談役などが実質的に


法人の経営に従事している場合などです。



②は、社長が株式のほとんどを保有している会社で、


社長の親族が使用人として勤務している場合、


該当する可能性があります。



その親族の株式の所有割合が5%を超えており、


会社の経営に従事している場合には、


役員として登記されていなくても、


みなし役員として取り扱われることになります。




なお、みなし役員に該当する場合は、


使用人兼務役員(部長や支店長など


使用人としての職務を有する役員)にはなれません。









2014年9月16日火曜日

抜本改正が検討される民法(債権関係)



◆120年ぶりの抜本的な改正


商品の売買や不動産の賃貸借、


事業資金の融資など、日常生活や経済活動は


様々な「契約」によって成り立っています。
 


民法(債権関係)では、このような「契約」の


基本的なルールなどが定められており、


明治29年の制定から120年間、


抜本的な改正は行われていませんでしたが、


現代化を図り、国民に分かりやすいものとするため、


改正に向けて動いています


(来年の通常国会に改正案を提出予定)
 


法務省が取りまとめた改正に関する要綱原案では、


多くの項目が盛り込まれていますが、


例えば、債権の消滅時効


(一定期間権利を行使しないことで権利が消滅すること)の


見直しや、事業融資における個人保証の制限など


保証人保護の拡充などがあります。



◆消滅時効や個人保証に係る改正案



債権の消滅時効における現行の時効期間は原則、


権利を行使できる時から10年間ですが、


職業別に区分された一定の債権については


1~3年の短い期間が規定されています


(例えば、宿泊代金や飲食代金などは1年、


商品の売掛代金などは2年)



改正案では、職業別の短期消滅時効を廃止し、


原則として


*権利を行使できることを「知った時から5年間」、


*権利を行使できる時から10年間のいずれかに


   該当した場合に適用するとしています。




また、保証人保護の拡充では、


事業融資における個人保証(経営者などは除く)について、


公正証書で保証人が意思表示していなければ


無効となるなどが検討されています。




この他にも、多くの方に影響を与える改正が


検討されていますので、今後の動向に注目しましょう。









2014年9月8日月曜日

贈与税の改正と暦年贈与の注意点


 
来年から相続税の基礎控除額引下げ


(3千万円+600万円×法定相続人数)などが


行われることをご存知の方は多いと思いますが、


若年世代への資産移転を促進するために、


贈与税も改正されます。



◆来年からの贈与税の改正点


贈与税は、個人から財産の贈与を受けた場合に


贈与を受けた人が負担する税金で、


110万円の基礎控除を利用する方法を


暦年課税といいます。



暦年課税は、1年間に贈与を受けた財産の合計額から、


110万円を控除した残額を基に税額を計算しますが、


27年以降は税率構造が緩和され、


20歳以上の方が直系尊属から贈与を受けた場合に


適用する「特例税率」が設けられます。
 


また、暦年課税に替えて選択(要件あり)できる


相続時精算課税制度については、


贈与者の年齢要件(現行65歳以上)が


60歳以上に引下げられ、


受贈者の範囲(現行20歳以上の子)に


孫が追加されます。



◆暦年贈与の注意点


相続税対策のために、生前贈与として


毎年110万円以下で贈与を行う場合、


贈与税はかかりませんが、


以下のような注意点もあります。



*基礎控除額は、贈与をした人ごとではなく、


贈与を受けた人ごとに年間110万円となります。




*亡くなった方(被相続人)から相続人が受けた


贈与財産は、相続発生時点から3年前まで


さかのぼって、相続財産に加算されます。




*贈与には「あげます」「貰います」という両者の


契約が必要なので、勝手に子や孫名義の


銀行口座を作って預金をしている場合などは、


贈与と認められないことがあります。









2014年9月2日火曜日

来年度税制改正に向けた各省庁の要望


平成27年度税制改正に向けて、各省庁が出した


主な要望には以下のような事項があります。



◎法人実効税率の引下げ……


来年度から法人実効税率の引下げを開始し、


数年で20%台まで引下げる。



◎中小法人に係る法人税の軽減税率の引下げ……


年800万円以下の所得金額に適用される軽減税率は、


法人実効税率の検討状況を踏まえ、引下げを目指す。



◎事業承継に係る贈与税の納税猶予制度の拡充……


同制度の適用者(2代目)が3代目に再贈与を行う場合、


贈与税の納税義務が生じないようにする。



◎個人事業者の事業用資産に係る軽減措置の創設等……


後継者に生前贈与した事業用資産について、


贈与者の死亡時に生じる相続税を軽減する。



◎ジュニアNISA(仮称)の創設……


未成年者の口座開設を可能とし、


親権者等が代理運用を行う。年間投資上限額は80万円。



◎NISAの年間投資上限額の引上げ……


毎月の定額投資に適した金額


(120万円:毎月10万円×12ヵ月)に引上げる。



◎住宅取得等資金に係る贈与税の
              

                   非課税措置等の延長・拡充……


3年間延長するとともに、非課税枠を


最大3千万円まで拡充する。




◎結婚・妊娠・出産・育児を支援するための


    贈与を目的に設定する信託に係る贈与税の


   非課税措置等の創設……



信託等を活用し、結婚や出産などの費用を子・孫へ


一括贈与した場合、一定額を非課税にする及び


子育てに要する支出を所得税の控除対象にする。




◎その他……


*デリバティブ取引等も金融商品間の
   
   
   損益通算範囲に含める、


*たばこ税の税率引上げ、


*ゴルフ場利用税の廃止、など。