2017年5月29日月曜日

成立した民法改正(債権関係)のポイント



民法(債権関係)は、




日常生活や経済活動における




様々な契約の基本ルールなどが




定められているもので、




明治29年の制定から




抜本的な改正は




行われていませんでしたが、




現代化を図るための改正が




今月26日に可決・成立しました。






◆改正法は公布から3年以内に施行




多くの改正項目がありますが、




主な改正には以下のような項目があります。




なお、改正は公布から




3年以内に施行されます。





◎債権の消滅時効……




現行では原則、




権利を行使できる時から10年間ですが、




一定の債権については1~3年の短い期間




(例えば、飲食代金などは1年、




商品の売掛代金などは2年)が




規定されています。



改正では、




このような短期消滅時効を廃止し、




原則として権利を行使できることを





「知った時から5年間」とします




(現行の権利を行使できる時から




10年間も維持し、




いずれかに該当した場合に適用)。





◎個人保証の制限……




事業融資における




経営者等以外の個人保証について、




契約締結前に保証人になる方が




公正証書を作成して




保証債務を負う意思表示しなければ




効力は生じないとされました。






◎法定利率……




利率を定めていない場合や、




損害賠償金額の算定などに用いる




法定利率を現行の年5%から年3%に引下げ、




3年ごとに一定の規定により




変動するものとします。





◎売買の目的物に欠陥があった場合……




現行では、売買で引き渡された




目的物が契約の内容に




適合しないものである場合、




買主は契約解除または




損害賠償の請求ができますが、




改正により売主に対して、




目的物の修補、




代替物の引渡しなども請求できます。











2017年5月22日月曜日

役員に対する定期同額給与の見直し等



◆損金算入が制限される役員に対する給与




役員に対する給与を損金算入するためには、




定期同額給与(1ヵ月以下の一定期間毎で、




事業年度中の支給額が同額)や、




事前確定届出給与(所定の時期に確定額を




支給する旨の定めに基づいて




支給する給与で届出が必要)などに




該当する必要があります。





税法上の役員とは、




取締役などの会社法等で




規定された役員だけではなく、




使用人以外で地位、職務等からみて、




他の役員と同様に経営に従事している




(取締役になっていない会長や顧問など)、




同族会社の使用人で




一定の持株割合を満たし、




経営に従事している、




のいずれかに該当する方は




「みなし役員」となり、




役員と同様の扱いになります。





◆手取り額が同額の場合も定期同額給与に該当




多くの中小企業は




定期同額給与を支給していますが、




支給額を改定する場合は通常、




決算後に開催する




定時株主総会により




改定する必要があります。




事業年度の中途




利益調整目的や




一時的な資金繰りなどで




改定した場合には、




損金不算入となる金額が




生じることになりますが、




経営状況が著しく悪化したなど




一定の事由に該当する場合は、




事業年度中の改定も損金算入が認められます。





なお、29年度税制改正において、




所得や住民税、




社会保険料等を控除した




金額が同額である定期給与も




定期同額給与とみなされることになりました。




これにより、




例えば、社会保険料の引上げで




手取り額が減少する場合でも、




支給額を増やして保険料引上げ前と




同額の手取り額にすることができます。

 




29年4月1日以後に支給に係る決議




(決議が行われない場合、その支給)を




する給与に適用されます。











2017年5月15日月曜日

年々使い勝手がよくなる事業承継税制



事業承継税制は、




後継者が先代経営者から




相続又は贈与により




非上場株式を取得した場合、




一定要件を満たせば、




相続税は80%、




贈与税は全額を納税猶予する制度です




(議決権総数の2/3までが対象)。





◆29年度改正による主な見直し等は




同制度は、




年々使い勝手をよくするための




見直しが行われており、




例えば27年からは、




*親族外承継の対象化、




雇用維持要件の緩和




(5年間平均で雇用の8割以上を維持)、




*贈与時の役員退任要件の緩和




(先代経営者は代表権を




有していなければ有給役員として残留可)、




などが実施されています。




29年度税制改正においても




以下のような見直しが行われ、




29年1月以後の相続又は




贈与から適用されます




(「雇用維持要件の計算方法の見直し」




については29年4月以後に適用)。





◎雇用維持要件の計算方法の見直し




(29年4月以後適用)……




納税猶予を続けるための




要件の一つである




雇用維持要件について、




5年間維持すべき従業員数の計算上




(従業員数×80%)、




1人未満の端数を切り捨てることになり、




従業員4人以下の企業で




1人減った場合でも納税猶予が続けられます。





◎相続時精算課税制度との併用が可能に……




同制度により贈与税の納税猶予の




適用を受ける場合でも、]




相続時精算課税制度が適用できるようになり、




要件を満たすことができずに




贈与税の納税猶予を




取り消された場合のリスクが低減できます。





◎災害等が発生した場合の要件緩和……




例えば、災害により




事業用資産の3割以上が




損壊した場合は、




後継者(相続人等)の要件のうち、




相続開始の直前において




会社の役員であることが免除されます。