今年10月に予定されている
消費税率10%への引上げに伴う需要平準化対策として、
中小・小規模事業者による
キャッシュレス決済手段を使ったポイント還元等を支援する
「キャッシュレス・消費者還元事業」が実施されます。
◆本事業による消費者還元や補助など
◎消費者への還元……
消費税率引上げ後9ヵ月間(今年10月~来年6月)、
本事業に登録した中小・小規模の小売店やサービス業者、
飲食店等で、
消費者がキャッシュレス決済手段を用いて
購買を行った場合に5%
(フランチャイズチェーン加盟店等は2%)
をポイント発行等により消費者に還元します。
◎決済端末等の導入補助……
キャッシュレス決済を導入する際に必要となる
決済端末等の費用については、
1/3を決済事業者、2/3を国が負担するため、
中小・小規模事業者の自己負担はありません
(フランチャイズチェーン等は対象外)。
なお、軽減税率対策補助金においても
複数税率対応のレジと併せて
決済端末等を導入する場合の費用が対象となるため、
どちらの補助制度を利用するかは選択となります。
◎決済手数料の補助……
消費者還元期間中に
中小・小規模事業者が決済事業者に支払う加盟店手数料率は、
3.25%以下に制限されます
(期間終了後の手数料率の取扱いは事前に明示)。
また、期間中は手数料の1/3を国が補助します
(フランチャイズチェーン等は補助の対象外)。
◎登録手続き……
4月初旬に中小・小規模事業者の登録が開始される予定です。
各決済事業者から提供するプラン
(手数料率や端末など)が公表され、
その中から望ましいプランを選択します。
年の中途で亡くなった方の確定申告は、
相続人が代わって申告書の提出や納税を行います。
この手続きを「準確定申告」といいます。
◆相続開始から4ヵ月以内に手続きが必要
所得税の確定申告は、
1月から12月までの1年間の所得について、
翌年の2月16日から3月15日までの間に
申告・納税をすることになっていますが、
準確定申告は
被相続人が亡くなった年の1月から亡くなった日までの所得について、
相続の開始があったことを知った日の翌日から
4ヵ月以内に申告・納税をします。
準確定申告が必要となるのは、
確定申告をしなければいけない方
(給与収入が2千万円超の場合や、事業所得がある場合など)が亡くなった場合です。
なお、確定申告期限の3月15日までに亡くなり、
前年分の確定申告書を提出していない場合には、
前年分についても準確定申告の手続きが必要です。
この場合の期限は、
前年分、本年分とも相続開始を知った日の翌日から4ヵ月以内です。
◆申告書は被相続人の住所地の税務署に提出
確定申告をする必要のない方が亡くなった場合は、
準確定申告も不要ですが、
高額の医療費を支払っており
医療費控除を適用できる場合などは
準確定申告を行うことで還付を受けることができます。
医療費控除や生命保険料控除等の各種控除を
適用を受ける場合に対象となるのは、
亡くなる日までに被相続人が支払った分となります。
なお、準確定申告書は各相続人が連署して
被相続人の住所地の所轄税務署に提出します
(各人が別々に提出することも可能)。
今月18日からの所得税の確定申告が始まります。
◆申告書を作成する際の注意点等
以下のような誤りや申告漏れ等に注意しましょう。
◎医療費控除……
入院給付金や高額療養費などの補填された金額は、
給付の対象となった医療費を限度として差し引きます。
また、領収書に代えて
「医療費控除の明細書」の提出が必要になりましたが、
領収書の提出等による申告も可能です。
◎寄附金控除……
ふるさと納税のワンストップ特例を申請している方が
確定申告を行う場合は、
特例の適用を受けることができないため、
全てのふるさと納税の金額を申告する必要があります。
◎雑損控除……
災害等により損害を受けた資産のうち、
生活に通常必要でない資産(貴金属、書画、骨董など)
は対象外です。
◎住宅ローン控除……
住宅取得等資金に係る贈与税の非課税特例を
適用している場合は、住宅ローン控除額の計算において、
贈与特例を受けた金額を住宅の購入金額から差し引いて計算します。
◎給与以外に副収入等がある場合……
年末調整を行った給与所得者でも、
ネットオークションなどの個人取引や
仮想通貨の売却などによる所得が20万円を超える場合は、
確定申告が必要です。
◎満期保険金等を受け取った場合……
保険料の負担者が満期保険金等を一時金で受け取った場合は、
一時所得となります。
◎国外所得がある場合……
居住者は国外で得た所得も申告する必要があります。
なお、
30年末時点で5千万円超の国外財産を保有している場合は、
国外財産調書の提出も必要です。
働き方改革により、今年4月から全ての企業において、
年次有給休暇の日数のうち年5日は、
使用者が時季を指定して労働者に取得させることが義務付けられます。
◆ポイント
◎対象となる労働者……
法定の年次有給休暇付与日数が10日以上の労働者
(管理監督者を含む)が対象です。
なお、雇入れの日から起算して6ヵ月継続勤務し、
全労働日の8割以上出勤した労働者は、
10日の年次有給休暇が付与されます。
◎年5日の時季指定方法……
使用者は、労働者ごとに年次有給休暇を付与した日
(基準日)から1年以内に時季を指定して取得させなければなりません。
時季指定は、労働者の意見を聴取した上で、
できる限り希望に沿った取得時季になるように努めます。
◎時季指定を要しない場合……
既に5日以上の年次有給休暇を請求・取得している労働者に対しては、
使用者による時季指定をする必要はありません。
◎年次有給休暇管理簿の作成……
使用者は、時季、日数及び基準日を労働者ごとに明らかにした書類
(年次有給休暇管理簿)を作成し、
3年間保存しなければなりません。
◎就業規則への規定……
使用者による年次有給休暇の時季指定を実施する場合は、
時季指定の対象となる労働者の範囲及び時季指定の方法等について、
就業規則に記載しなければなりません。
◎罰則……
年5日の年次有給休暇を取得させなかった場合や、
使用者による時季指定を就業規則に記載していない場合は、
違反となり罰則(30万円以下の罰金)が科されることがあります。
30年分の贈与税の申告は、2月1日から始まります(3月15日まで)。
◆申告が必要となる主なケース
30年中に個人から財産の贈与を受けた方で、
申告が必要となる主なケースは次の通りです。
◎110万円超の贈与を受けた場合……
暦年課税の基礎控除額は、
受贈者ごとに年間110万円なので、
贈与者の人数に関わらず贈与を受けた財産の合計額が
110万円を超える場合は申告が必要です。
なお、直系尊属(父母や祖父母など)から
20歳以上の方が贈与を受けた場合、
その財産に係る贈与税額の計算は
「特例税率」が適用されます。
◎相続時精算課税を適用する場合……
原則60歳以上の父母・祖父母からの贈与について、
暦年課税に代えて相続時精算課税
(特別控除額2500万円)を適用する場合は、
期限内の申告が必要です。
なお、同制度は贈与者ごとに選択できますが、
選択した贈与者が亡くなるまで継続して適用されます。
◎住宅取得等資金の非課税措置を適用する場合……
直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の
非課税措置を適用する場合は、
期限内の申告が必要です。
30年中に住宅用家屋の新築等に係る契約を締結した場合の非課税限度額は、
受贈者ごとに700万円(省エネ等住宅は1200万円)です。
◎配偶者控除の特例を適用する場合……
婚姻期間が20年以上である配偶者からの居住用不動産又は
居住用不動産の購入資金の贈与について、
最高2千万円まで控除できる特例を受ける場合は、
期限内の申告が必要です。
なお、同じ配偶者からの贈与について一度しか適用できません。
◆還付申告は1月から可能
大部分の給与所得者の方は年末調整で所得税が精算されているため、
確定申告をする必要はありませんが、
医療費控除などの
年末調整では受けることができない控除を適用する場合は、
還付を受けるための申告(還付申告)を行う必要があります。
還付申告については、
確定申告期間(30年分は2月18日~3月15日)
に関係なく1月から行うことができ、期間は5年間です。
◎医療費控除……
本人又は生計を一にする配偶者や親族のために支払った
医療費から保険金など補填される金額を差し引き
10万円(所得金額200万円未満の方は、その5%)
を超える場合、所得控除ができます。
セルフメディケーション税制
(定期健康診断などの取組を行う方に係るスイッチOTC医薬品の購入費の一定額を所得控除)との選択適用です。
◎雑損控除……
災害等によって、
生活に通常必要な住宅や家財などの資産について
損害を受けた場合などに、所得控除ができます。
◎寄附金控除……
国や地方公共団体などに対して支出した
特定寄附金が2千円を超える場合、所得控除できます。
なお、還付申告を行う場合は、
ふるさと納税のワンストップ特例を適用できないため、
寄附金控除額の計算に含める必要があります。
◎住宅ローン控除(初回のみ)……
住宅ローン等を利用してマイホームの新築、取得等をした場合、
年末のローン残高を基に計算した金額を税額控除できます。
2年目以降は年末調整で控除が受けられます。
◎国際観光旅客税の適用開始……
1月7日以後、日本から出国する方
(日本人の海外渡航や、訪日外国人の帰国など)を対象に、
出国1回につき1000円が課されます
(航空券等の代金に上乗せして徴収)。
なお、適用日前に航空券等を購入している場合は原則、
適用されません。
◎自筆証書遺言の方式緩和(1月13日施行)……
民法(相続法)改正により、
自筆証書遺言に添付する財産目録については
自書でなくてもよいものとされ、
目録をパソコンで作成したり、
通帳のコピーなどを添付できるようになります
(財産目録の各頁に署名押印が必要)。
◎e-Tax利用の簡便化……
個人納税者の方は、
マイナンバーカードとICカードリーダライタを使用する
「マイナンバーカード方式」と、
IDとパスワード
(税務署で職員と対面による本人確認を行った上で発行)
による「ID・パスワード方式」の2つの方式で
e-Taxが利用できるようになります。
◎休眠預金等の発生開始……
金融機関で入出金等の取引が10年以上ない預金等
(休眠預金等)を民間公益活動に活用する
休眠預金等活用法(昨年1月施行)により、
対象となる休眠預金等が今月から発生します。
なお、休眠預金等となった場合でも、
金融機関に通帳やキャッシュカード、
本人確認書類などを持参することで
引き出すことができます。
◎地震保険料の改定……
保険料は都道府県や建物の構造によって異なりますが、
全国平均で約3.8%の引上げとなります。
また、長期契約(2~5年)に適用される割引率
(長期係数)も改定され、
保険期間3~5年の割引率が縮小します。