◆所得税の確定申告書提出者は2169万人
国税庁が公表した
平成28年分の確定申告状況によると、
所得税の確定申告書を提出した方は
2169万人(前年比0.8%増)で、
うち還付申告を行った方は
1258万人(同0.9%増)となりました。
また、申告納税額があった方は
637万人(同0.7%増)となり、
その所得金額は
40兆572億円(同1.7%増)、
申告納税額は
3兆621億円(同3.1%増)と、
いずれも2年連続で増加しています。
なお、上場株式等の譲渡所得について
申告した方は93万2千人(同2.7%増)で、
うち所得金額があったのは
29万4千人(同36.3%減)
と大幅に減少し、
譲渡損失を翌年以降に繰り越した方は
59万2千人(同34.0%増)となっています。
◆贈与税の申告状況は
贈与税について
申告書を提出した方は
50万9千人(同5.4%減)で、
うち暦年課税(基礎控除110万円)を
適用したのは46万4千人(同5.0%減)、
相続時精算課税は
4万5千人(同9.3%減)でした。
また、住宅取得等資金に係る
非課税制度を適用した方は
5万9千人(同11.3%減)で、
贈与を受けた5169億円
(同20.6%減)のうち、
非課税の適用は4766億円
(同22.6%減)となっています。
なお、同制度は父母や祖父母など
直系尊属から住宅取得等資金の
贈与を受けた場合に、
住宅用家屋の新築等に係る
契約の締結日に応じて
一定の限度額まで贈与税が
非課税となる制度で、
29年中に契約を締結した場合は、
省エネ等住宅1200万円、
一般住宅700万円
(震災被災者は1500万円・1000万円)
まで非課税となります。
民法(債権関係)は、
日常生活や経済活動における
様々な契約の基本ルールなどが
定められているもので、
明治29年の制定から
抜本的な改正は
行われていませんでしたが、
現代化を図るための改正が
今月26日に可決・成立しました。
◆改正法は公布から3年以内に施行
多くの改正項目がありますが、
主な改正には以下のような項目があります。
なお、改正は公布から
3年以内に施行されます。
◎債権の消滅時効……
現行では原則、
権利を行使できる時から10年間ですが、
一定の債権については1~3年の短い期間
(例えば、飲食代金などは1年、
商品の売掛代金などは2年)が
規定されています。
改正では、
このような短期消滅時効を廃止し、
原則として権利を行使できることを
「知った時から5年間」とします
(現行の権利を行使できる時から
10年間も維持し、
いずれかに該当した場合に適用)。
◎個人保証の制限……
事業融資における
経営者等以外の個人保証について、
契約締結前に保証人になる方が
公正証書を作成して
保証債務を負う意思表示しなければ
効力は生じないとされました。
◎法定利率……
利率を定めていない場合や、
損害賠償金額の算定などに用いる
法定利率を現行の年5%から年3%に引下げ、
3年ごとに一定の規定により
変動するものとします。
◎売買の目的物に欠陥があった場合……
現行では、売買で引き渡された
目的物が契約の内容に
適合しないものである場合、
買主は契約解除または
損害賠償の請求ができますが、
改正により売主に対して、
目的物の修補、
代替物の引渡しなども請求できます。
◆損金算入が制限される役員に対する給与
役員に対する給与を損金算入するためには、
定期同額給与(1ヵ月以下の一定期間毎で、
事業年度中の支給額が同額)や、
事前確定届出給与(所定の時期に確定額を
支給する旨の定めに基づいて
支給する給与で届出が必要)などに
該当する必要があります。
税法上の役員とは、
取締役などの会社法等で
規定された役員だけではなく、
①使用人以外で地位、職務等からみて、
他の役員と同様に経営に従事している
(取締役になっていない会長や顧問など)、
②同族会社の使用人で
一定の持株割合を満たし、
経営に従事している、
のいずれかに該当する方は
「みなし役員」となり、
役員と同様の扱いになります。
◆手取り額が同額の場合も定期同額給与に該当
多くの中小企業は
定期同額給与を支給していますが、
支給額を改定する場合は通常、
決算後に開催する
定時株主総会により
改定する必要があります。
事業年度の中途に
利益調整目的や
一時的な資金繰りなどで
改定した場合には、
損金不算入となる金額が
生じることになりますが、
経営状況が著しく悪化したなど
一定の事由に該当する場合は、
事業年度中の改定も損金算入が認められます。
なお、29年度税制改正において、
所得税や住民税、
社会保険料等を控除した
金額が同額である定期給与も
定期同額給与とみなされることになりました。
これにより、
例えば、社会保険料の引上げで
手取り額が減少する場合でも、
支給額を増やして保険料引上げ前と
同額の手取り額にすることができます。
29年4月1日以後に支給に係る決議
(決議が行われない場合、その支給)を
する給与に適用されます。