2016年5月23日月曜日

役員給与の改定と「みなし役員」


◆役員給与は原則、定期同額
 




役員に対する給与は原則、




定期同額給与(支給時期が1ヵ月以下の一定期間毎で、




その事業年度中の支給額が同額)であれば、




全額損金算入できます。




支給額を改定する場合は




通常、決算後に開催する定時株主総会により




改定する必要があり、




利益調整目的や一時的な資金繰りなどのため




事業年度の中途で改定した場合には、




損金不算入となる金額が生じます。





ただし、

「経営状況が著しく悪化した場合




(業績悪化改定事由)」や




「職制上の地位の変更や職務内容の




重大な変更(臨時改定事由)」などの




事由による改定は、




事業年度中でも損金算入が認められます。





◆役員として扱われる「みなし役員」とは




このように役員に対する給与を




損金算入するためには制限がありますが、




税法上の役員には、取締役や監査役などの




会社法等で規定された役員だけではなく、




一定の条件に該当する方も役員とみなされます。




これを「みなし役員」といい、




役員と同様に取り扱われることになります。





みなし役員とは、以下の①、②のいずれかに




該当する方をいいます。




①法人の使用人以外で他の役員と




同様に法人の経営に従事している方




(取締役になっていない会長や顧問、相談役など)





②同族会社の使用人で一定の持株割合を満たし、




経営に従事している方





なお、「経営に従事している」とは、




経営方針や資金調達、




人事など経営上の重要事項に関する




意思決定に参画しているか




どうかにより判断されます。








2016年5月16日月曜日

知っておきたい「地震保険」



◎地震保険とは……




地震・噴火・津波が原因の




火災・損壊・埋没・流出による損害を補償する保険で、




火災保険に付帯する方式での契約となります




(単独では契約できません)。




なお、火災保険だけでは、




地震による火災の損害は補償されません。





◎補償対象……




居住用建物と家財(生活用動産)が対象となります。




工場や事務所専用の建物、自動車、




30万円超の貴金属などは対象外です。





◎契約金額……




火災保険の契約金額の




30%~50%の範囲内で決めることができます。




ただし、建物は5千万円、




家財は1千万円が限度です。





◎保険料……




所在地(都道府県)や建物の構造により




保険料は異なります。




なお、地震保険料控除により、




所得税は最高5万円、




住民税は最高2万5千円を控除できます。





◎保険金の支払……




保険の対象である建物及び




家財の損害の程度に応じて、




「全損」、「半損」、「一部損」の




3段階に区分して損害認定をし、




全損は契約金額の100%、




半損は50%、




一部損は5%が支払われます。




なお、損害の程度が一定の基準を下回る場合は、




保険金支払の対象外となります。





◎損害認定の基準……




建物の場合は、主要構造部(土台、柱、壁、屋根等)の




損害額が時価の50%以上、





または焼失・流失した部分の床面積が




その建物の延床面積の70%以上である




損害が「全損」となります




「半損」は主要構造部が20%以上50%未満、




または延床面積の20%以上70%未満、




「一部損」は主要構造部が3%以上20%未満、




または建物が床上浸水もしくは地盤面より45cmを





超える浸水を受けて、全損・半損に至らない場合です。











2016年5月9日月曜日

相続放棄等の「熟慮期間」とは


 
熊本地震に係る特例により、




熊本県に住所を有していた相続人の方は、




相続放棄や限定承認ができる熟慮期間が




28年12月28日まで延長されました。





◆「相続放棄」と「限定承認」




被相続人(亡くなった人)の財産を相続する場合、




相続人は被相続人の一切の財産を




引き継ぐことになりますので、




現預金や土地等の財産だけではなく、




借金等の債務を負っていた場合には、



その債務も含めて相続することになります




(これを「単純承認」といいます)。
 





相続人が借金等の債務を引き継ぎたくない場合は、




「相続放棄」をすることで




債務を引き継がないことができますが、



債務だけではなく被相続人が有していた




現預金や土地等の財産も引き継がないことになります。
 





また、被相続人の借金などがどの程度あるのか不明で、




財産が残る可能性もある場合などは




「限定承認」をすることで、




相続によって得た財産を限度として




債務を引き継ぐことができます。





◆相続放棄等をする場合の「熟慮期間」
 




相続人が相続放棄及び




限定承認をする場合に原則として、




相続の開始があったことを知った時から




3ヵ月以内に家庭裁判所にその旨を申述する必要があり、




この期間を「熟慮期間」といいます。




熊本地震に係る特例では、




この熟慮期間が28年12月28日までに延長されました。
 




なお、熟慮期間に相続放棄又は




限定承認をしなかった場合は原則、



単純承認をしたものとみなされ、



被相続人の財産と借金等の債務を




全て相続することになります。