今年7月に成立した民法等(相続法)改正について、
施行期日が政令で定められました。
◆来年1月から段階的に施行される改正法
相続法が約40年ぶりに大幅に見直され、
配偶者居住権の新設をはじめ、
遺産分割や遺言制度に関する見直しなど、
多岐にわたる改正が実施されます。
改正法の施行期日は原則として、
31年(2019年)7月1日ですが、
一部の規定は施行期日が異なり、
以下のように段階的に施行されます。
◎自筆証書遺言の方式緩和(31年1月13日)……
自筆証書遺言を作成する際、
添付する財産目録は自書でなくてもよいものとされ、
パソコンで作成した目録や通帳のコピー等の添付が
可能になります。
◎原則的な施行(31年7月1日)……
相続された預貯金債権について、
遺産分割前にも払戻しが受けられる制度の創設や、
相続人以外の親族が無償で
被相続人の療養看護等を行った場合、
相続人に対して金銭請求ができる制度の創設のほか、
遺留分制度や相続の効力等に関する
見直しなどが行われます。
◎配偶者居住権の新設(32年4月1日)……
配偶者が相続開始時に被相続人の建物に住んでいた場合、
遺産分割が終了するまでの間(最低でも6ヵ月間)
は建物を無償で使用できる権利(配偶者短期居住権)や、
配偶者に終身または一定期間、
建物の使用を認める権利(配偶者居住権)が新設されます。
◎法務局における自筆証書遺言の保管制度の創設
(32年7月10日)……
自筆証書遺言に係る遺言書は現状、
自宅で保管するケースが多く、
紛失や相続人による隠匿、
改ざんなどのおそれがありますが、
法務局において保管できるようになります。
給与所得者は原則、
年末調整を行うため確定申告は不要ですが、
年末調整では対応していない医療費控除や寄附金控除、
雑損控除、住宅ローン控除(初回適用のみ)
などの適用を受ける場合は確定申告をします。
申告の際に必要となる領収書や証明書などを
準備しておきましょう。
◆災害により住宅や家財に損害を受けた場合は
今年も台風や豪雨、地震などの自然災害により、
各地で甚大な被害が発生しました。
災害によって住宅や家財などに損害を受けた方は、
「雑損控除(所得控除)」又は
「災害減免法(所得税額の軽減免除)」の
どちらか有利な方法を選択することができます。
なお、被災者が地方公共団体から
義援金の配分を受けた場合でも損失額の計算上、
その金額を補填された金額として控除する必要はありません。
◎雑損控除……
生活に通常必要と認められる住宅や家具、
車両(専ら通勤に使用している場合など)などの資産が
損害を受けた場合に、
「損失額(保険金などの補填される金額を控除)-所得金額の10%」
又は「損失額のうち災害関連支出額(取り壊しや除去費用など)-5万円」
のいずれか多い方を所得金額から控除できます。
その年の所得金額から控除しきれない金額がある場合には、
翌年以後3年間繰り越して控除できます。
◎災害減免法……
災害があった年分の所得金額が1千万円以下の方で、
住宅や家財の損失額が時価の1/2以上の場合に
適用できます。
所得金額により軽減額が異なり、
500万円以下は所得税額を全額免除、
500万円超750万円以下は税額の1/2、
750万円超1千万円以下は税額の1/4を軽減できます。
祖父母等が子や孫に対して、
教育資金や結婚・子育て資金を一括贈与した場合、
それぞれ贈与税の非課税措置が設けられています。
現行の適用期限は来年3月末までとなっていますが、
文科省は来年度税制改正で恒久化を要望しており、
延長される可能性があります。
◆塾や習い事の費用も対象となる非課税措置
教育資金に係る措置は、祖父母等(受贈者の直系尊属)が
30歳未満の子・孫に対して教育資金を一括贈与する場合、
受贈者ごとに1500万円
(塾や習い事など学校等以外に支払う費用は
500万円が限度)まで贈与税を非課税とするもので、
利用するには取扱金融機関で専用口座を開設し、
贈与する資金の預入等を行い管理する必要があります。
同措置では受贈者が30歳に達した場合などに
契約終了となり、
その時点で教育資金として使われなかった残額は
贈与税の課税対象となります。
ただし、
契約期間中に贈与者が亡くなった場合における残額は
相続財産に加算されません。
◆結婚や子育て資金を1千万円まで非課税に
結婚・子育て資金に係る措置は、
祖父母等(受贈者の直系尊属)が
20歳以上50歳未満の子・孫に対して
結婚・子育て資金を一括贈与する場合、
受贈者ごとに1千万円
(結婚関係の費用は300万円が限度)まで
非課税とするものです。
教育資金の措置と同様に、
取扱金融機関で専用口座を開設し、
受贈者が50歳に達した時点での残額は
贈与税の課税対象となります。
なお、
贈与者が亡くなった場合における残額の取扱いは異なり、
相続財産に加算されるため、注意が必要です。
年末調整の時期が近づいてきました。
Q.年末調整の対象者は?
A.「扶養控除等(異動)申告書」を提出しており、
年末まで勤務している方が対象です
(給与総額が2千万円超の方などは除く)。
なお、給与以外の所得がある場合などで
確定申告をする方でも、対象者は年末調整を行います。
Q.年末調整の対象となる給与は?
A.1月から12月までの間に支払うことが確定した給与です
(未払いがある場合でも年末調整の対象)。
また、年の中途で入社した方が、
入社前に別の会社から給与を受け取っていた場合は、
その給与を含めて年末調整をします(前職の源泉徴収票で確認)。
Q.配偶者控除等の適用を受ける場合は?
A.今年から、年末調整において配偶者控除又は
配偶者特別控除の適用を受けるためには
「配偶者控除等申告書」の提出が必要です。
Q.扶養控除などの適用は、いつの時点で判定?
A.配偶者や扶養親族が控除対象に該当するかは、
年末調整を行う時点の現況で判断することになります
(その年の12月31日までに異動があった場合は、
年末調整をやり直します)。
なお、年の途中で亡くなった場合は、
その時点で要件を満たしていれば控除を適用できます。
Q.別居している扶養親族等は控除の対象になる?
A.常に生活費や療養費を送金しているなど、
本人と生計を一にしている場合は対象になります。
なお、
国外に居住する親族について
扶養控除等の適用を受けるためには、
当該親族に関する「親族関係書類」及び
「送金関係書類」の提出等が必要です。