29年度税制改正において、
雇用者の給与等支給額を
増加させた場合に税額控除できる
「所得拡大促進税制」が見直され、
前年度比2%以上の賃上げを行う企業に
対する拡充等が行われました。
◆所得拡大促進税制を適用するための要件は
同制度は、次の①~③の要件を
全て満たす場合に適用でき、
基準事業年度(通常24年度)からの
給与等支給増加額の
10%が税額控除されるものです。
ただし、法人税額の20%
(大企業は10%)が
控除額の限度となります。
①給与等支給総額が
基準事業年度(24年度)と比べ、
3%(大企業は29年度から5%)
以上増加している。
②給与等支給総額が前事業年度以上である。
③平均給与等支給額が
前事業年度を超えている
(大企業は29年度から
「前年度比2%以上増加」)。
◆29年度改正による拡充等の内容は
中小企業については、29年度改正により、
上記の要件を満たした上で、
③の平均給与等支給額が
前年度比2%以上増加している場合に、
これまでの税額控除
(24年度からの
給与等支給増加額の10%)に加えて、
前年度からの給与等支給増加額分に
対しては22%(12%上乗せ)が
税額控除できます。
なお、③が前年度比2%未満の
増加である場合は、
従来どおり10%の税額控除となります。
一方、大企業については、
③の要件自体を29年度から
「前年度比2%以上増加」に見直した上で、
前年度からの給与等支給増加額分に
対しては12%(2%上乗せ)が
税額控除できます。
これらの改正は、
29年4月以後に開始する
事業年度から適用されます。
成立した29年度税制改正のうち、
以下は4月(又は1月)から
適用となる主な個人関連です。
なお、関心が高い配偶者控除等の見直し
(控除額38万円の対象となる
配偶者の給与収入上限を
150万円に引上げる等)は、
30年分からの適用となります。
◎国外財産に対する相続税等の
納税義務の範囲の見直し……
国外に居住する日本人の
被相続人等又は相続人等が
10年以内に国内の住所を有していた場合は、
国外財産も課税対象とします。
また、短期滞在の外国人同士の
相続等については、
国外財産を課税対象外とします。
29年4月以後の相続・贈与に適用。
◎物納できる財産の順位等の見直し……
相続税の物納に充てることができる
財産の物納順位について、
金融商品取引所に上場されている
有価証券が第1順位となります。
29年4月以後の物納申請分から適用。
◎医療費控除・セルフメディケーション税制に
係る添付書類の見直し……
医療費控除等の適用を受ける際、
領収書の添付に代えて医療費等の明細書を
確定申告書に添付します。
29年分以後の確定申告に適用
(31年分まで領収書の添付による申告も可能)。
◎タワーマンションに係る課税の見直し……
60m超の居住用超高層建築物に係る
固定資産税及び不動産取得税について、
上の階ほど取引価格が高くなる実態を踏まえ、
各区分所有者ごとの税額を算出する際の
按分割合を補正します。
30年度から新たに課税される
居住用超高層建築物
(29年4月前に売買契約が締結された
住戸を含むものは除く)に適用。
◎既存住宅のリフォームに係る
特例措置の拡充……
省エネ改修等と併せて行う
耐久性向上改修を
リフォーム減税の対象とします。
29年4月から適用。
成立した29年度税制改正のうち、
以下は4月(又は1月)から適用となる
主な中小企業関連です。
◎所得拡大促進税制の拡充……
従来(24年度からの給与等
支給増加額の10%を税額控除)に加え、
平均給与等支給額が
前年度比2%以上増加している場合、
前年度からの給与等支給増加額分は
22%の税額控除とします。
29年4月以後開始事業年度から適用。
◎中小企業経営強化税制の創設……
投資促進税制の上乗せ措置を
経営強化法の認定計画に基づく制度に改組し、
器具備品・建物附属設備を追加します。
対象設備を取得等した場合、
即時償却又は税額控除が適用できます。
29年4月以後の取得について適用。
◎固定資産税の特例措置の見直し……
経営強化法の認定計画に基づき取得した
一定の設備の固定資産税を
3年間1/2に軽減する措置について、
一定の工具、器具備品、建物附属設備等を
対象設備に追加します
(追加設備は最低賃金が
全国平均以上の7都府県で業種が限定)。
29年4月以後の取得について適用。
◎研究開発税制の拡充……
試験研究費の増加率が
5%を超える場合には、
控除率を最大17%とし、
控除上限を法人税額の35%に拡充します。
29年4月以後開始事業年度から適用。
◎事業承継税制の見直し……
雇用維持要件
(従業員数を5年平均で8割以上維持)
を緩和し、
5人未満から1人減った場合でも
要件を満たします。
また、相続時精算課税との
併用が可能になりました。
29年1月以後の相続・贈与に適用。
◎取引相場のない株式の評価の見直し……
評価に用いる類似業種比準方式等が見直されました。
29年1月以後の相続等により
取得した財産の評価に適用。