消費税の軽減税率制度が導入されたことに伴い、
課税事業者が仕入税額控除の適用を受けるには、
区分経理に対応した帳簿及び区分記載請求書等の保存が
要件となります。
また、消費税額の計算は、
売上げと仕入れを税率ごとに区分して
記帳した帳簿等に基づき行いますが、
税率ごとの区分が困難な中小事業者
(前々事業年度における課税売上高が5千万円以下の事業者)については一定期間、
以下の特例により計算できます。
◆売上税額の計算の特例
売上げを税率ごとに区分することが困難な中小事業者は、
課税売上げに次のいずれかの割合を乗じて
軽減税率の対象となる課税売上げを算出できます。
◎小売等軽減仕入割合の特例(卸売・小売業)……
卸売・小売業に係る課税仕入れに占める
軽減税率の対象となる売上げにのみ要する
課税仕入れの割合。
◎軽減売上割合の特例……
通常の連続する10営業日の課税売上げに占める
同期間の軽減税率の対象となる課税売上げの割合。
◎上記が困難な場合(主に軽減対象品目を販売する事業者)
……割合を50%とみなして計算。
◆仕入税額の計算の特例
仕入れを税率ごとに区分することが困難な中小事業者は、
次のいずれかの特例が認められます。
◎小売等軽減売上割合の特例(卸売・小売業)……
卸売業・小売業に係る課税売上げに占める
軽減税率の対象となる課税売上げの割合により、
仕入税額を計算できる。
◎簡易課税制度の届出の特例……
課税期間中に届出書を提出することで
簡易課税制度の適用が可能。
来月から消費税率引上げに関連する制度以外にも、
以下のような制度等が実施されます。
◎地域別最低賃金の改定……
都道府県ごとに定められている地域別最低賃金が改定され、
すべての地域で26円以上(26~29円)の
引上げとなります。
改定額の発効日は各都道府県で異なりますが、
10月1日~6日までに順次発効されます。
◎地方税共通納税システムの運用開始……
パソコンから全ての地方公共団体に
地方税の電子納税ができるシステムが開始され、
複数の地方公共団体への一括納付や、
地方公共団体が指定する金融機関以外からの納付などが
可能になります。手数料は無料です。
◎電子帳簿等保存制度の改正……
スキャナ保存の承認を受けている保存義務者は、
承認を受ける前に作成等した重要書類(領収書など)について、
適用届出書を提出した場合は一定要件を満たすことで、
スキャナ保存が可能となります。
また、新たに業務を開始した個人事業主に対する
承認申請書の提出期限の特例
(業務開始から2ヵ月以内)が創設されます。
◎電気通信事業法の改正……
携帯電話料金に関する新たなルールとして、
端末と通信料金のセット割引の禁止や、
2年定期契約の解約金を1千円以下にするなどの規制が行われます。
10月以降の契約から適用され、
既存の契約は従来どおりです。
◎水道法の改正……
水道の基盤強化を図るため、
地方公共団体が水道事業者等としての
位置付けを維持しつつ、
水道施設に関する公共施設等運営権
(施設の所有権を地方公共団体が所有したまま、
運営権を民間事業者に設定する方式)
を民間事業者に設定できる仕組みの導入などを行います。
◎住宅取得支援……
消費税率10%が適用される住宅の取得等した場合に、
①住宅ローン減税の控除期間を13年間に拡充、
②すまい給付金の対象者を拡大し、
給付額も最大50万円に引上げ、
③一定の性能を有する住宅の新築等に対して、
商品と交換可能なポイント(新築は最大35万円相当)を
付与する次世代住宅ポイント制度の創設、
④住宅取得等資金の贈与に係る非課税措置の非課税枠を
2500万円(省エネ等住宅は3千万円)に拡充します。
◎自動車購入支援……
①自動車取得税を廃止し、
代わりに燃費性能に応じて0~3%(軽自動車は0~2%)
を課税する「環境性能割」を導入
(自家用乗用車は来年9月まで1%軽減)、
②10月以降に購入する新車登録車から
自動車税を恒久的に引下げます。
◎キャッシュレス決済に対するポイント還元……
対象店舗でクレジットカードやスマートフォン等を使った
キャッシュレス決済により代金を支払った場合に5%
(フランチャイズチェーン傘下の店舗等は2%)
のポイント還元が受けられます。
◎プレミアム付き商品券の発行……
住民税非課税者と学齢3歳未満の子がいる世帯を対象に、
一人につき最大で額面2万5千円分を
2万円で購入できる商品券が発行されます
(額面5千円単位で購入可能)。
◎幼児教育・保育の無償化……
3~5歳児と住民税非課税世帯の0~2歳児を対象に
保育所や幼稚園、認定こども園などの利用料を原則、
無償化します。
◎年金生活者支援給付金……
所得が一定以下の老齢・障害・遺族年金の受給者に
給付金を支給します。
◎低所得高齢者の介護保険軽減……
住民税非課税世帯を対象に
65歳以上の介護保険料を軽減します。
来月から消費税率の引上げにより、
事業者が行う資産の譲渡等に係る消費税には原則10%
(軽減税率対象資産の譲渡等は8%)が適用されます。
◆消費税率の適用に関するQ&A
Q.9月までに締結した契約に基づいて行う
10月以後の取引は?
A.9月までに締結した契約に基づき行われる
資産の譲渡等及び課税仕入れ等であっても、
10月以後に行われるものは、原則10%が適用されます。
ただし、経過措置が適用される一定の取引については
旧税率(8%)が適用されます。
Q.取引先が9月に出荷した商品
(出荷基準により8%で請求)について、
検収基準により仕入れを計上しているため
10月の仕入計上となる場合の仕入税額控除は?
A.税率8%で仕入税額控除の計算を行います。
Q.1年間のサービス提供契約を9月に締結し、
1年分の対価を受領している場合は?
A.役務の提供に係る資産の譲渡等の時期は、
役務の全部を完了した日とされていますので、
そのサービスが年ごとに完了するものである場合、
完了する日は来年8月となるため、
原則10%が適用されます。
ただし、中途解約時の未経過部分について
返還の定めがない契約であり、
事業者が継続して1年分の対価を
受領した時点の収益として計上している場合は、
8%を適用できます。
Q.不動産の賃貸契約(経過措置の適用はない)について、
10月分の賃貸料を9月に前受する場合は?
A.10月分の賃貸料は10月以後の資産の貸付けとして
受領するものなので、10%が適用されます。
令和2年(2020年)1月から、
働き方の多様化を踏まえた個人所得課税の見直しが行われ、
すべての納税者に対して適用される
「基礎控除」の控除額を引上げるとともに、
「給与所得控除」及び「公的年金等控除」の控除額引下げ
などが適用されます。
◆見直しのポイント
◎基礎控除の見直し……
控除額(現行38万円)を10万円引上げて、
48万円になります。
ただし、
所得金額が2400万円超2500万円以下の方は、
所得金額に応じて控除額が逓減します
(2450万円以下は32万円、2500万円以下は16万円)。
なお、2500万円超の方は基礎控除が
適用できなくなります。
◎給与所得控除の見直し……
控除額を一律10万円引下げます。
また、給与収入が850万円を超える場合の控除額は
195万円が上限となります
(現行は給与収入が1千万円を超える場合に220万円が控除上限)。
ただし、850万円を超える方が特別障害者に該当する場合や、
22歳以下の扶養親族が同一生計内にいる場合などは、
給与収入(1千万円超の場合は1千万円)から
850万円を控除した金額の10%を
給与所得から控除できます。
なお、850万円以下の方は、
基礎控除の引上げにより税負担の増加はありません。
◎公的年金等控除の見直し……
控除額を一律10万円引下げ、
公的年金等収入が1千万円を超える場合の控除額に
195万5千円の上限が設けられます。
また、公的年金等以外の所得金額が
1千万円超2千万円以下である場合は
控除額を10万円引下げ、
2千万円超の場合は20万円引下げられます。
来月から消費税率引上げとともに実施される
軽減税率制度に対応したレジの導入・改修などを補助する
「軽減税率対策補助金」について、
対象要件が緩和されることになりました。
◆9月末までに契約等が完了していれば対象に
本補助金は従来、
複数税率対応レジなどについて
「今年9月30日までに設置(導入・改修)し、
支払いを完了しているもの」が
補助の対象となっていましたが、
対応レジの需要が急増していることから、
9月末までの設置・支払いが間に合わず
補助金を受けられないないおそれがあります。
そのため、
対象要件を
「今年9月30日までに導入・改修に関する契約等の手続きが完了しているもの」に緩和し、
9月末までの設置・支払いが間に合わない場合も
本補助金の対象とします。
なお、補助金の申請はレジの設置・支払い後に行うため、
「補助金申請期限の12月16日までに設置・支払いを完了している」ことが必要となります。
◆要件緩和はA型各種とC1型、C3型
本補助金には、
複数税率対応レジや
区分記載請求書等保存方式に対応した
請求書等を発行する券売機の導入・改修を行う場合の「A型」、
電子的受発注システムの改修・入替を行う場合の「B型」、
区分記載請求書等保存方式に対応した
請求書管理システムの改修・導入を行う場合の「C型」があります。
このうち、上記の要件緩和が行われるのは、
A型各種とC-1型(指定事業者改修・導入)、
C-3型(事務機器改修・導入)となり、
今年9月30日までに売買契約や
システムの導入・改修に係る契約が締結されているものが
補助の対象となります。
本年10月から消費税率引上げとともに実施される
軽減税率制度において、
飲食料品(酒類を除く)は適用対象ですが、
「外食」や「ケータリング(顧客の指定場所で行う役務を伴う飲食料品の提供)」は対象外となります。
Q.軽減税率が適用されない「外食」とは?
A.飲食に用いられる設備
(テーブル、椅子、カウンター等)のある場所で
飲食料品を飲食させるサービスの提供をいい、
店内の飲食などは軽減税率の対象外となります。
なお、飲食料品の持ち帰り販売・テイクアウトや、
出前・宅配は軽減税率の対象です。
Q.屋台や移動販売車などの飲食料品の提供は?
A.飲食設備がない場合や、
誰でも座れる公園のベンチなどを顧客が利用する場合は、
軽減税率の対象となります。
一方、飲食設備を設置している場合や、
事業者が設備設置者から使用許可等を受けている
飲食設備を顧客が利用する場合は、対象外となります。
Q.注文した食事の残りを持ち帰る場合は?
A.軽減税率の対象となる「持ち帰り」に該当するかは、
その飲食料品の提供等を行った時点で判定するため、
対象外となります。
Q.遊園地などの売店での飲食料品の販売は?
A.施設内で食べ歩く場合や、
売店の管理の及ばないベンチ等で飲食する場合は、
単に店頭で飲食料品を販売しただけなので、
軽減税率の対象となります。
Q.ホテルのルームサービス等を利用した場合は?
A.ホテルが直接運営又はテナントであるレストランに
飲食料品を注文し、客室に届けるようなルームサービスは、
軽減税率の対象外です。
なお、客室の冷蔵庫内の飲料(酒類を除く)は、対象です。