国税庁は「平成29年分民間給与実態統計調査」を公表しました。
◆平均給与は前年比2.5%増で5年連続増加
調査結果によると、
1年を通じて勤務した給与所得者4945万人
(男性2936万人、女性2009万人、
平均年齢46.0歳、平均勤続年数12.1年)
の平均給与は、前年比2.5%増の432万円となり、
5年連続で増加しました。
男女別では、男性532万円、女性287万円です。
また、平均給与を事業所規模別にみると、
従事員10人未満の事業所では352万円、
10~29人では415万円、
30人以上では454万円となっています。
なお、給与所得者の給与階級別分布では、
300万円超400万円以下が867万人
(構成比17.5%)で最も多く、
次いで200万円超300万円以下が781万人
(同15.8%)で、
400万円以下の給与所得者は
合計2733万人と全体の55.2%を占めています。
◆税額の約5割は1千万円超の給与所得者から
1年を通じて勤務した給与所得者が
源泉徴収により所得税を納税した税額は
9兆7384億円で、
給与総額に占める税額の割合は4.89%でした。
また、給与階級別の税額をみると、
1千万円超の給与所得者は222万人で
全体の4.5%にすぎませんが、
その税額は合計5兆183億円で51.5%を占めます。
なお、昨年から給与収入が1千万円を超える場合の
給与所得控除額は220万円が上限となっていますが、
32年(2020年)以降は
給与収入850万円超の場合に
195万円が控除額の上限となり、
さらに税負担が増加します
(特別障害者の方や
22歳以下の扶養親族がいる方などは負担調整措置があります)。
◎地域別最低賃金の改定……
30年度の改定額は、すべての地域で24円以上
(24~27円)の引上げとなります。
発効日は各都道府県で異なりますが、
10月1日~6日までに発効されるので、
厚労省や労働局のホームページ等で確認します。
◎改正労働者派遣法(27年9月30日施行)に伴う対応……
27年9月30日以降に
契約を締結・更新した派遣労働者について、
①同一の派遣先事業所における派遣の受入れ期間は、
原則3年が限度
(過半数労働組合等から意見聴取することで最大3年延長が可能)、
②①で期間を延長した場合でも、
同一の派遣労働者を派遣先事業所の同一の組織単位
(「課」など)で受入れができる期間は3年が限度です。
◎健康保険被扶養者の手続き変更……
被扶養者を認定する際の身分関係及び
生計維持関係の確認が厳格化され、
「健康保険被扶養者(異動)届」の添付書類の取扱いが
変更になります。
◎社会保険の随時改定における年間平均の取扱い……
定時決定(算定基礎)と同様に、
随時改定(月額変更)についても報酬の月平均額と、
年間の報酬の月平均額とが著しく乖離する場合、
年間平均による保険者算定の申し立てができるようになります。
◎たばこ税の引上げ……
たばこ税の引上げ(1本あたり1円)や、
加熱式たばこの課税方法の見直しが実施されることに伴い、
価格も値上げとなります。
◎NPO法人に係る貸借対照表の公告……
NPO法人は毎年度、
貸借対照表を公告することが義務付けられます。
30年10月1日以後に作成する貸借対照表が対象となりますが、
30年9月30日以前に作成した
直近の貸借対照表も公告する必要があります。
26年からスタートした一般NISAの非課税期間は
最長5年間のため、
26年分の非課税期間は今年で終了となります。
◆ロールオーバー又は課税口座に移管を選択
NISA口座内の上場株式等を売却せずに、
非課税期間終了後も保有する場合は、
非課税期間終了時の時価を取得価額として、
①翌年のNISA口座の非課税投資枠に移す
(ロールオーバー)、
又は②特定口座などの課税口座に移すことを選択できます。
①を選択した場合、
引き続き譲渡益・配当等が5年間非課税となりますが、
翌年の非課税投資枠120万円を使用するため、
ロールオーバーした分だけ新規投資枠が減ります。
また、
ロールオーバーする上場株式等の時価が
120万円を超える場合でも、
すべて移すことが可能(上限なし)ですが、
その場合は非課税投資枠を使い切るため新規投資できません。
なお、口座を開設している金融機関に対して、
あらかじめ「非課税口座内上場株式等移管依頼書」を
提出する必要があります。
◆課税口座に移管する場合の注意点
②を選択した場合、
課税口座へ移管後に生じた譲渡益・配当等は課税され、
譲渡損失は損益通算や繰越控除が可能になりますが、
譲渡損益を計算する際の取得価格は
非課税期間終了時の時価となります。
例えば、100万円で購入し、
非課税期間終了時に70万円となった投資信託を
課税口座へ移管した場合、取得価格は70万円になります。
そのため、
移管後に値上がりし100万円で売却した場合は、
30万円の譲渡益となり課税されることになります。
なお、移管の際に必要な手続きはありません。
31年度税制改正に向けた各府省庁からの要望には、
主に以下のような事項があります。
◎中小企業の設備投資減税の延長等……
適用期限が30年度末までとなっている
①中小企業経営強化税制、
②商業・サービス業・農林水産業活性化税制、
③中小企業投資促進税制をそれぞれ2年間延長し、
①、②は必要な拡充を行う。
◎新設法人への繰越欠損金制度の拡充……
資本金1億円以上の新設法人について、
繰越欠損金を所得金額の100%まで控除できる期間を
設立10年目(現行7年目)まで延長する。
◎空き家に係る譲渡所得の特別控除の要件緩和……
空き家の譲渡所得の3千万円特別控除について、
要件を緩和し、
被相続人が老人ホーム等に入居していた場合も対象とする。
また、
譲渡後に家屋の耐震リフォーム又は除却を行った場合も対象に加える。
◎外国人旅行者向け消費税免税制度の拡充……
すでに消費税免税店の許可を受けている事業者が、
地域のお祭りや商店街のイベント等に出店する場合に、
簡素な手続きにより免税販売することを認める。
◎教育資金一括贈与に係る贈与税の非課税措置の拡充等……
領収書に代えて明細書の提出が可能となる範囲を
3万円以下(現行1万円以下)に引上げる。
◎結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の拡充等……
贈与者としておじ・おばを、受贈者として甥・姪を対象とする。
◎その他……
*研究開発税制の拡充等、
*NISA制度の恒久化等、
*金融商品に係る損益通算範囲の拡大、
*地域未来投資促進税制の拡充等、
*個人事業者の事業承継に係る負担軽減措置の創設、など。
◆補助金の申請等における注意喚起
来年10月から消費税率10%への引上げとともに、
飲食料品(酒類・外食を除く)と
一定の新聞を8%に据え置く軽減税率制度が導入される予定です。
同制度への対応が必要となる中小企業を対象に、
複数税率対応レジの導入や
受発注システムの改修などに係る費用の一部を補助する
「軽減税率対策補助金」は、
既に約7万以上の事業者が利用していますが、
申請の誤りや不適切な案件が増えていることから
経産省・中企庁が注意喚起を行っています。
なお、申請に対する現地調査も実施されており、
実際には軽減税率対象商品を販売していない事業者が
申請していたケースなどが発見されています。
◆複数税率対応レジの導入等支援のポイント
同補助金のうち、
複数税率対応レジの導入等支援(A型)に関するポイントは、
以下のとおりです。
◎申請受付期限……
31年9月30日までに導入または改修を終え、
代金の支払いを完了したものについて、
31年12月16日までに交付申請を行います。
◎対象となる事業者……
レジを使用して日頃から軽減税率対象商品を販売しており、
将来にわたり継続的に販売するため
複数税率対応レジを導入等が必要な事業者が対象です。
一時的な販売は該当しません。
◎リースの場合……
リース(ファイナンスリースに限る)による
レジの導入等も補助対象となります。
なお、指定リース事業者との共同申請が必須です。
◎中古のレジを導入した場合……
登録中古販売事業者から導入した場合に限り対象となります。
◎既に複数税率対応レジを設置している場合……
そのレジの入替、改修等に係る費用は申請できません。
30年度税制改正において、
国内雇用者に対する給与等支給額を増加させた場合に
一定割合を税額控除できる所得拡大促進税制が改組され、
30年4月以降に開始される事業年度
(個人事業主は31年分)から適用要件等が変わりました。
◆中小企業向け制度の適用要件等
◎適用要件……
適用年度における「継続雇用者」の給与等支給額が、
前年度比で1.5%以上増加していることです。
なお、「継続雇用者」とは、
前事業年度から適用年度までの全ての月分で
給与等の支給を受けており、
全ての期間で雇用保険の一般被保険者
(高年齢者雇用安定法に定める継続雇用制度の対象者は除く)となっている方です。
前年度または適用年度の途中で採用された方などは該当しません。
◎税額控除額……
適用年度における「国内雇用者」の給与等支給額について、
前年度からの増加額の 15%を税額控除します。
ただし、
法人税額(個人事業主は所得税額)の20%が上限です。
なお、「国内雇用者」とは、
継続雇用者に限定しない全ての国内雇用者が該当します
(役員等は除く)。
◎上乗せ措置……
継続雇用者の給与等支給額が前年度比で2.5%以上増加しており、
かつ、次の①または②のいずれかを満たす場合、
税額控除額は前年度からの増加額の25%になります。
①適用年度の教育訓練費が前年度比で10%以上増加していること
②適用年度の終了までに
中小企業等経営強化法に基づく経営力向上計画の認定を受けており、
経営力向上が確実に行われていること
平成30年7月豪雨による災害救助法の適用地域は現在、
11府県106市町村(7月31日時点)
に拡大しています。
これに伴い、
中小企業・小規模事業者に対する資金繰り支援も拡充され、
直接被害を受けた事業者だけではなく、
間接的に被害を受けた事業者も対象となる制度もあります。
◎平成30年7月豪雨特別貸付(日本公庫)……
①災害救助法が適用された11府県において
直接被害を受けた事業者、
②直接被害事業者と直接取引があり
業況が悪化している事業者、
③①、②以外で
今般の豪雨により業況が悪化している事業者
(風評被害による影響を受けた事業者を含む)、
を対象に設備・運転資金を融資します。
◎小規模事業者経営改善資金(マル経融資)の拡充(日本公庫)……
マル経融資は、
商工会・商工会議所等による経営指導を受けた
小規模事業者に対して
無担保・無保証人融資を行う制度です。
今般の豪雨に伴い災害対応特枠
(別枠で1千万円)を措置し、
①災害救助法が適用された
11府県に所在する直接被害を受けた事業者、
②①の直接被害を受けた事業者と一定の取引があり、
間接的に被害を受けた事業者、を対象に融資を実施します。
◎小規模企業共済制度の特例災害時貸付の創設等(中小機構)……
特例災害時貸付を新たに措置し、
災害救助法適用地域内に所有する事業資産が
直接被害を受けた小規模企業共済契約者に対して、
無利子で最高2千万円まで融資します。
また、災害時貸付の適用対象を緩和し、
豪雨の影響により1ヵ月の売上高が前年同月比で
減少することが見込まれる
小規模企業共済の契約者に拡充します。